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長谷川 卓 空舟―北町奉行所捕物控


ここ数日は、深夜に大きな余震で叩き起されることもあまりありません。それなりに平和に眠れています。勿論、一日中余震が全くない、というわけではありません。

我が家の奥さんが用事で久しぶりに市の中心部へ行ってきました。やはり従来の街ではなく、災害にあった街の貌だと言っています。店はまだあまり開いておらず、活気というには程遠い状態だそうです。それでも、デパートも一部営業を開始し、少しずつですが、勢いを取り戻そうとしています。

さて本書。前に書いたように、まとめて借りていたものをやっと読み終えました。シリーズも三作目となると、それなりに落ち着きを見せてきています。

京、尾張、駿河と殺しを続ける、通称「絵師」と呼ばれる男が江戸に潜入した。臨時廻り同心・鷲津軍兵衛は、最古参の与力・嶋村の命を受けて、駿河本町奉行所から「絵師」を追ってきた同心の西ヶ谷の力添えをすることとなった。「絵師」とは、知り合ってから殺すまでの間、殺す相手の似顔絵を描き続け、絵の完成とともに殺すことから名付けられたのだという。謎の男「絵師」の正体とは果たして誰なのか?軍兵衛の必死の探索が始まるのだが…。北町奉行所シリーズ、好評の第三弾。(「BOOK」データベースより)

相変わらずに主人公とそれ以外の同心との書きわけが明確でない気がすることと、主人公と今回の敵役となる剣術使いとの邂逅があまりに偶然に過ぎること、などの難点はありますが、それでも、物語に厚みが出てきているように感じます。

主人公の鷲津軍兵衛とその配下たちとのチームがうまくまとまってきており、読んでいて小気味良さを感じるようになっています。

とはいえ、どこか一歩引いてしまう自分がいるのが残念です。

長谷川 卓 黒太刀―北町奉行所捕物控


今朝方は5時に突き上げるような揺れ。目が覚めはしたものの、まだ早いからとうつらうつら。と、再度更に大きな揺れで眠りに落ちそうなところを引き戻されました。時計を見ると5時半過ぎ。それでも根性で眠ろうとしましたが、もはや眠気は遠い彼方。今頃になって眠気がやってきています。

ネットで調べると、震度は1と2。たいした揺れではありませんでした。でも、体感はそれぞれ1ずつ足してもよさそうな印象なのです。感覚がおかしくなっているのかも。

この作品は前作『風刃の舞』の個所で書いたように、その前に読んだ『戻り舟同心』の面白さから、地震の前にシリーズ三冊をまとめて借りていたものです。ただ、期待していたほどではなかったというのはシリーズ一作目と同様です。

御袋物問屋・伊勢屋の主人が、料理茶屋で斬り殺された。臨時廻り同心・鷲津軍兵衛は死体に残された凄まじい斬り口から、「黒太刀」と呼ばれる殺し屋に目星をつける。数年に一度殺しを繰り返す「黒太刀」の背後には、殺し屋一味の元締めと殺しの依頼人がいるはず。殺された伊勢屋の主人が元武士だったことから、彼の過去に殺しの動機を求めると同時に、殺し屋一味を追うのだが…。北町奉行所臨時廻り同心・鷲津軍兵衛の活躍を描く、時代小説の傑作長篇第二弾。(「BOOK」データベースより)

本作は法により懲らしめることのできない悪人を、天に代わって成敗するという仕置人のような殺し屋集団を相手にしている物語です。

登場人物としては集団の元締めだったり、実行犯である剣の達人だったりと種々の人物がいるのです。しかし、それらの人物をどのように描きたいのかよく分からず、少々半端な印象をも持ってしまった作品でした。

やはり、面白くないことはないのだけれど、それ以上ではない作品と言わざるを得ません。

長谷川 卓 風刃の舞―北町奉行所捕物控


気づかないほどのものは何度かあったようですが、私が気付いた昨夜余震は小さな一度のみ。たまたま目が覚めていたときにあったもので、そうでなければ多分気づかないままでしたでしょう。日中も大きなものはありませんでした。

ここ数日で久しぶりの仲間からお見舞いの連絡もあり、私が知らない他の仲間の情報も知らせてくれます。幸い大けがをした仲間はいないものの、家が半壊のものも数人いるようです。

ともあれ、読んだものの書かずにいた作品の感想です。

四谷伝馬町の町中で、いきなり飛んできた矢が通行人を殺めた。その矢は四町(四百三十六メートル)以上も飛び、矢羽は鷹羽で極上の、御大名家か大身の御旗本でないと持てぬものであるという。事件は定廻り同心から、北町奉行所の臨時廻り同心・鷲津軍兵衛にひきつがれることになった。誰が何の目的で矢を放ったのか?軍兵衛は事件の目撃者探しや、遠矢の名人の話を聞くことから始めたのだが…北町奉行所臨時廻り同心・鷲津軍兵衛の活躍を描く、新シリーズここに開幕。(「BOOK」データベースより)

本書は同心が主人公の捕物帳ものの典型的な作品という印象でした。前に読んだ『戻り舟同心』がかなりの出来栄えであったので、期待を持って読み始めたということもあったのかもしれませんが、上げに上げたハードルの下をくぐってしまいました。

『戻り舟同心』が今の祥伝社文庫の前に出ていた学研M文庫から出版されたのが2008年4月で、本書が2005年8月の出版です。その三年足らずの差が作品の差として現れたのでしょうか。

本書は本書として捕物帳の面白さは十分に持っているとは思うのですが、残念ながらキャラクタの魅力で一歩及びません。主人公は北町奉行所臨時廻り同心の鷲津軍兵衛という男なのですが、冒頭に出てくる定廻り同心の小宮山仙十郎とキャラが被ります。二人の区別がつきにくいのです。このことは軍兵衛や仙十郎の手足として動きまわる岡っ引きたちにも言えます。書きわけが今一つなのです。

更には、鷲津軍兵衛の年齢が五十歳を越えているという設定も気になります。動けない年齢とは言いませんが、この時代に第一線で動き回れるものなのか。

何も考えずにただ物語の流れに乗ればそれなりに面白いとは思います。ただ、前に読んだ作品が面白かっただけに残念です。

長谷川 卓 戻り舟同心


「一番手柄」「嫌な奴」「何も聞かねえ」の三つの章からなる、思いのほかに面白い痛快時代小説でした。

元南町奉行所定廻り同心の二ッ森伝次郎は、十年前に息子の新治郎家督を譲り隠居した身ではあったが、町屋の者を相手によろず悩み相談の真似事をしていた。南町奉行の坂部肥後守は、追放刑になっていながら江戸に居るものの多さに対するため、伝次郎らに再び十手を持たせることを命じ、追放刑の者の見回りや、永尋(ながたずね)、つまりは迷宮入りになっている事件の洗い直しなどを行わせることとするのだった。

「一番手柄」では、軽追放となり江戸にはいないはずの弁天の常七を見かけた伝次郎が、かつての同心仲間である染葉忠右衛門と共に常七を見張り、夜烏の一味の企みを割り出します。

本章では、二ッ森伝次郎とその仲間の染葉忠右衛門や、伝次郎を助けていた鍋寅とその孫娘の隼(はや)、それに10年前に同心職を継いだ伝次郎の息子の新治郎、その子で十七歳になる正次郎らの人物紹介を兼ねています。これらの登場人物がそれぞれに個性豊かであり、これまで読んできた捕物帳ものとくらべても遜色ありません。また、伝次郎が「戻り船の旦那」と呼ばれるようになった経緯も明らかにされています。

そもそも伝次郎というキャラクタ―が面白いのです。隠居の身でありながら隠居生活に飽き足らずに走り回っているというのは、鳥羽亮や風野真知雄などの作品にもある設定ですが、そんな中でも伝次郎は未だ血の気が多く、盗人をたたっ切ることなど当たり前の元気の良さを誇っています。更には、他の登場人物ごとの性格設定もきちんとできていて、人物の会話もユーモアが効いていて読んでいて飽きません。

第二章の「嫌な奴」になると、伝次郎も正式に十手を持っています。ある日伝次郎はお初と名乗る女から息子の濡れ衣を晴らしてほしいと頼まれます。九年前の線香問屋の西村屋の娘を殺した下手人にされているが息子は殺してないというのです。調べてみると確かに経緯に怪しいところがあります。そんな折に伝次郎が襲われるのです。

主人公が襲われる理由も不明のまま話は進みます。そのことに合わせ、一ノ瀬八十郎という、剣の立つ仲間を引き入れることになります。若干筋立てに疑問をかじるところもあるのですが、テンポよい展開に気にならなくなりました。

最後の「何も聞かねえ」の章では、伝次郎がまた襲われます。しかし、そのおかげで今調べている永尋の件の絡みらしい犯人の目星がつくのです。

絡んだ糸がときほぐされていく経過も楽しみですが、登場人物の会話や考え方明が確になっていく様もまた面白い物語です。話が次につながる終わり方をしていて、早速に次を読みたいと思わせられる作品でした。

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このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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