木村 友馨 御赦し同心


昨日は午前中に阿蘇地方で震度四の余震が二回。我が家のあたりでは体感は震度3はあったろうとの感じでしたが、震度2との発表でした。震度1やそれに至らない地震の時もここから大きくなるのではと一瞬思ってしまい、疲れます。

それでも、余震のためか突然弱音を吐き、寝たきりになった年寄りの疎開も終え、懸念事項が一つ減りました。

ところで本書。典型的な勧善懲悪のパターンに 則った痛快時代小説です。それでいて、書き込みが結構濃密でずしりとした読み応えのある作品でした。

北町奉行所定廻り同心の伊刈籐四郎強すぎるほどの正義感の持ち主ですが、残念ながらやっと髷が結えるかどうかというほどの若禿であった。その籐四郎が手下の錠吉と共に女捕(めとり)、すなわち婦女暴行犯人を捉まえるがその被害者は籐四郎と錠吉が想いを寄せているお凛という娘だった。犯人の新助という男は公儀呉服師の伊勢屋の息子であり、とある大名の若君との遊びで女を犯したのだという。思わず新助に怪我を負わせた籐四郎は閑職に回され、いわゆる御赦し同心となってしまうのだった。

単に勧善懲悪というだけでなく、若禿(わかはげ)というキャラクタも特異なものがあるのですが、強烈な正義感と、主の禿さえいじり倒す錠助というこれまた個性豊かな手下との掛け合いの面白さ、加えて有沢伝蔵という籐四郎の上司である定廻り筆頭同心の存在もこの物語の個性に色を添えています。

籐四郎の立ち向かう相手が、通常であれば同心ごときが立ち向かうことなど考えられない公儀御用達の町人であること、更にはその町人と共に暴行を加えたのが将軍の娘を娶る予定になっている大名の若君であることが、犯人を挙げることの大きな障害となるのです。

この困難に敢然と立ち向かうヒーローこそが籐四郎であり錠助です。「定廻り同心は、町人を守るがつとめ。」と言い切る籐四郎が公儀という巨大な権力を背景とする大商人や大名に挑む、痛快時代所小説の醍醐味はここにあると言える設定です。

この主人公たちの活躍を描きつつ、籐四郎たちに蔭ながら力を貸す仲間たちの存在が本書の面白さを倍増させています。定廻りからも外され、二重に捜査権を失った籐四郎が、じわじわと目指す犯人に迫る様子はなかなかに読ませるものがあり、楽しめました。

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