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朝井リョウ 何者


昨夜は珍しくゆっくりと眠れました。8時間近くも眠ったようです。Yahooの地震情報を見ても、昨夜は熊本地方を震源とする大きな余震は無かったようです。でも、天草・芦北地方を震源とする地震はあったようですが。

代わりに強い雨が降っています。阿蘇などの山間部方面は余震と同じように怖い代物で、心配はいかばかりでしょう。何もできない身が恨めしく思えます。

さて、本書は第148回直木賞を受賞した作品です。五人の若者の「就職活動」に焦点を当てた青春小説です。

就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから―。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて…。直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

主人公は二宮拓人という演劇青年。その同居人として神谷光太郎という人気者がいます。それに光太郎のかつての彼女であり、拓人の片想いの相手でもある田名部瑞月がいます。そして拓人の上の階に住む瑞月の友人の小早川里香、その同居人である宮本隆良の五人で間で話は進んでいきます。

本書は上記の五人それぞれの就職活動の様子を示したものです。いまどきの就職活動をする学生の生態が、主人公である拓人の一人称の形をとり語られている青春小説なのです。

それにしても、驚くべきはその生活様式、といって良いものかスマートに過ぎる学生生活の在りようです。まあ、私の学生時代と比べると、私と同世代であっても共感を感じる人の方が少ないでしょうが、それにしても四畳半一間に暮らすことが普通であった時代とは隔世の感があります。こういう感想は年寄りの繰り言でしかないでしょうから、もうやめます。

一番の違和感は、ネット社会という状況でしょうか。コンピュータであったり、スマートホンであったり、その道具は異なっても、瞬時の情報交換を前提に暮らしが成り立っていて、会社訪問であれ、訪問先の先輩であれ、ネットを前提としていることには驚きです。

また、これは本書限定のものではありませんが、ツイッターを駆使して自分の内面を外部に対して発信するという行為、それ自体に違和感が満載です。仲間内に限定されたつぶやきであればまだ理解の範疇です。しかし、それが世の中一般に対しての発信ということになるともうついてはいけません。その「つぶやき」自体、本心かどうか不明の、実体を伴わない空虚な言葉を前提とした他人(ひと)との繋がり、としか思えないのです。

この作品で描かれている状況は現代の一般的な「就活」の状況だと思っていいのでしょうか。これは一部大企業に限定された話ではないのでしょうか。

個人的にはきちんとした「就活」というものをしたことが無いので、そもそもの前提が分からず、物語の世界に入っていくことが難しかった、ということはあります。

でも、若者たちの自分を表現する方法は異なっても、他者との繋がり方を模索し、その繋がりができたり、切れたり、形だけのつながりだったりと、さまざまな関わり方の中でひたすらに悩み、苦しみ、もがく、という点では今も昔も無いように思います。

本書はそうした青春小説という側面に加えて、若干のミステリーチックな仕掛けが最後に待っています。こうした構成は上手いものだと感心するばかりです。

この作者が『桐島、部活やめるってよ』の作者だということは読了後に知りました。映画を見た限りでは青春小説の面白さをおさえた作品のようで、原作を読まねば、と思っていたところでした。本作品を読み、更にその思いを強くしたところです。

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Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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