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柳 広司 ジョーカー・ゲーム


日本陸軍内に結成されたスパイチーム「D機関」の活躍を描いた五編の短編から成る、連作のミステリ短編小説集です。


「ジョーカー・ゲーム」
「D機関」への出向を命じられた佐久間陸軍中尉は、「D機関」第一期生の三好少尉らとともに、親日家のアメリカ人ジョン・ゴードンの家を捜索することになった。自信に満ちた態度を崩さないゴードンだったが、三好少尉は笑みを絶やさず佐久間を見つめるのだった。
「幽霊(ゴースト)」
英国総領事のアーネスト・グラハムの爆弾テロ計画への参画疑惑が生じ、その疑惑の真偽を明確にするよう「D機関」訓練生の蒲生次郎に命令が下った。
「ロビンソン」
D機関員伊沢和男は潜入先のロンドンで英国諜報機関に捕まってしまう。その後、井沢は訓練項目を思い出しながら脱出を試みるが、最後には意外な事実が明らかになる。
「魔都」
上海において及川政幸大尉から内通者捜索の命令を受けた元特高刑事の本間英司軍曹は、「D機関」員と聞いている草薙行仁を見かけ追跡すると、その先には及川政幸大尉の姿があった。
「ⅩⅩ(ダブルクロス)」
陸軍軍人でありながら「D機関」の訓練を受けていた飛崎弘行は、「D機関」の卒業試験として、二重スパイのカール・シュナイダーの調査を命じられるが、対象者が調査の途中で殺されてしまう。このあり得ない事態に結城の指示を受ける飛崎だったが、意外な結末が待っていた。

「D機関」の中心となるのは、自らが伝説のスパイと呼ばれた結城中佐であり、彼の指導のもと。訓練生たちは優秀なスパイとして成長していきます。

本書の「D機関」とは、映画化もされてその存在が一躍脚光を浴びたこともあるかの有名な「陸軍中野学校」をモデルにしているそうです。「陸軍中野学校」の優秀さは私も聞いたことがありますが、その校風は本書の「D機関」そのものであったようです。(ウィキペディア参照)

この本の解説を元外務省主任分析官であったあの佐藤優氏が担当されています。この佐藤という人もいろいろと鈴木宗男氏との関係で話題になった人物ではありますが、その優秀さは誰しも認める人物であると聞いています。

その彼の言葉ではあるのですが、本書で描写されている「建物に入ってから試験会場までの歩数、及び階段の数」などを聞くような「D機関」の採用試験の奇妙さは、中野学校出身者や、モサド(イスラエル諜報特務庁)やSVR(ロシア対外諜報庁)の訓練部局の幹部から聞いた話とも符合するそうです。

また、本書で描写されているインテリジェンスの各種手法も決して絵空事ではなく、現実の諜報活動での実態に即しているとも書かれています。

それほどに本書の描写はリアリティーがあります。その上で、冒頭から読者を惹きつけてやまない話の組み立て方など、この作家の上手さが目立つ物語です。

少し前からこの本のタイトルは聞いていたのですが、何故か読まずにいました。映画kされた作品があまり評価がよくなかったためかもしれません。でも、本書の面白さは格別でした。続編も出ています。近いうちに読みたいと思います。

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このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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