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森見 登美彦 熱帯





本書は2019年本屋大賞候補作であり、また第160回直木賞候補作ともなった長編の幻想小説です。

目次
第一章 沈黙読書会
第二章 楽団の男
第三章 満月の魔女
第四章 不可視の群島
第五章 『熱帯』の誕生




本書に登場する『熱帯』という小説は最後まで読み終えた人がいないという不思議な小説で、本書自体は高名な「千一夜物語」がモチーフになった作品です。


第一章から第三章までは森見登美彦という名の「私」から始まり、白石さん、そして池内氏のノートと、主体が入れ代わって『熱帯』という小説について語り、第四章、第五章で『熱帯』の内容、そして謎について書かれています。

個々でのまとめも、一度は章ごとに大まかな筋を書こうかとも思ったのですが、あらすじはまとめず、直接に読んでもらった方がいいだろうと、まとめるのをやめました。まあ、まとめるのが難しいということもあるのですが・・・・。



本書の著者が森見登美彦という少々不思議な物語を書かれる作家さんですので、本書も風変りな小説だとは思って読み始める人がほとんどだとは思います。私もそうでした。

しかし、いざ読み始めてみるとかなり振り回され、読み終えたときには、よくわからん、ということになってしまいました。



つまり、普通の作品は原因があって、結果が起こるという流れに沿って物語が流れていきますが、本書の場合、因果の流れはどこへやら、結末がどこかへ消えてしまったような、奇妙な終わり方をしているのです。

ただ、こう書くことはもしかしたら私自身の読解力の無さを露呈しているのかもしれません。というのも、本書についてのネット上での評価は非常に良いのです。本書が直木賞や本屋大賞の候補作としてノミネートされていることからも客観的な評価の高さは裏付けられています。

最後まで読み通すことが難しかったというわけでもないし、単に個人的好みとは少々異なっていた、といういうべき作品でした。
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森見 登美彦 夜行


第156回直木賞候補作であり、2017年本屋大賞ノミネート作品です。ホラーと言い切るには何となく抵抗があるような微妙なニュアンスの作品で、章ごとに語り手の異なる別な話が収められた、連作短編小説集とも言えそうな物語でした。

「第一夜 尾道」」 語り手 中井
中井は家を出ていった妻を迎えに尾道まで出かるが、妻が世話になっているという一軒家に妻はおらず、妻そっくりの女性がいるだった。仕方なくホテルに帰ると妻似の女性から電話があり、助けて欲しいというのだった。
「第二夜 奥飛騨」 語り手 武田
武田の勤め先の先輩の増田とその彼女の川上美弥、それに彼女の妹の瑠璃の四名で飛騨旅行へと行くことになった。ところが、飛騨へ行く途中でミシマという女性を拾うのだが、ミシマは「二人にシソウが出ている」というのだ。
「第三夜 津軽」 語り手 藤村
銀座の画廊で働いている藤村は、夫とその後輩の小島の三人で夜行列車に乗り津軽へと向かうことになった。旅の終わりの津軽中里で、見知った町のように歩く小島の行きついたところに三角屋根の二階家があり、そこで不思議なことが起きるのだった。
「第四夜 天竜峡」 語り手 田辺
田辺が豊橋へと帰る列車の中で、通路の反対側にいた中年のお坊さんと女子高生と知り合うが、その坊さんは田辺がかつて良く通っていた岸田という画家の家によく来ていた佐伯という男だった。しかし佐伯は、岸田を殺したのはそこの女子高生だといい、列車を降りてしまったのだった。
「最終夜 鞍馬」 語り手 大橋 鞍馬の火祭を見るために集まった、かつての英会話スクールの生徒たちたったが、十年前に同じように鞍馬の火祭を見に来た際に行方不明となった長谷川と同様に、他の四人が行方不明となってしまう。仲間に電話をかけるとどうも話が変で、中井と会うことになるが。

森見登美彦作品は始めて読みました。本書の終盤に至るまで、私が好きとは言えないタッチのホラー作品、それもあまり主張の見えにくい作品だと思いながら読んでいました。

最終話に至るまでの四話は、どの話も結論が見えず、読み手は何となくの気持ちの悪さ、怖さというよりも若干の不快さを感じるだろうと思っていたものです。

岸田道生という画家の「夜行」という一連の作品が焦点になっていることは分かります。

でも、長谷川という女性が行方不明になっていることとそれぞれの話はどのように結びついているのかよく分からないのです。

また、そもそもどの物語も、前提として五人の登場人物が集まっている現在から過去を振り返っての話であり、とするならば語られた過去の話は現在へとどのようにつながっているのか、など、疑問符が飛びまくりの物語ばかりだったのです。

しかし、最終夜の鞍馬の話で、前提であった筈の現在が前提ではなくなり、この作品全体が、独特の雰囲気を持った、計算され尽くした世界へと一気に変貌してしまいました。

では、各話の結末は明確になったのかというとそうではなく、相変わらずに不明確なままなのですが、全体としてのこの物語が、一個の不安定な物語として確立される、矛盾しているようですが、そのように私の中で落ち着いてしまいました。

ここに至り、やっとこの作品が直木賞、そして本屋大賞の候補になった作品なのだとやっと納得させられたものです。

なにせこの作者の作品は初めてなので、他の作品も読んでみるしかない、と思っているところです。

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Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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