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今村 翔吾 童の神





早大なスケールを持った長編小説で第160回直木賞の候補になった物語です。

目次
序章 / 第一章 黎明を呼ぶ者 / 第二章 禍の子 / 第三章 夜を翔ける雀 / 第四章 異端の憧憬 / 第五章 蠢動の季節 / 第六章 流転 / 第七章 黒白の神酒 / 第八章 禱りの詩 / 終章 童の神


タイトルの「童」とは、大陸から入ってきた言葉で、「雑役者」や「僕(しもべ)」を意味し、土蜘蛛、鬼、夷(えびす)ら化外の民の総称だそうです。

つまりは朝廷の支配が及んでいない「化外の民」をひとくくりに「童」の字を充て差別の対象としたわけです。

本書はこの差別の対象となった民の朝廷への反抗の物語です。

面白いのは、登場人物として私たちが子供のころに慣れ親しんだ金太郎などのおとぎ話の登場人物をあてていることです。

すなわち、大江山の酒吞童子の物語を化外の民の反抗の物語として再構成してあるのです。



主人公は桜暁丸(おうぎまる)といい、天延三年の凶事(日食)の時に生まれた子です。母は髪は黄金色で、肌が透き通るように白い容貌の漂着民であり、桜暁丸もその容貌を受け継いでいました。

この桜暁丸が長じて酒吞童子となり、虎熊童子、金熊童子、星熊童子、茨木童子らの助けを得て朝廷に対し戦いを挑みます。

この酒吞童子を、当然源頼光やその四天王である渡辺綱、卜部季武、碓井貞光、坂田金時らが迎え撃つのです。



本書のうまいところは、単にこれだけの話しではなく、酒吞童子らの勢力を北方謙三版『水滸伝』の二竜山や双頭山のような、三つの山を中心とした勢力として構成しているところでしょう。

まさに北方水滸伝の物語をおとぎ話の登場人物らが繰り広げるのですから、面白いはずです。

そこに京に暮らす人々から差別を受けている民たちの目線を持ち込んで展開しているのです。ダイナミックな物語構成もエンターテインメント小説としての魅力を十二分に引き出しており、私の好みに合致した作品でした。



一昨日(2019年1月26日)、第160回直木三十五賞の発表があり、真藤順丈氏の『宝島』が受賞し、残念ながら本書の受賞はかないませんでした。

個人的な好みとしては本書に軍配を挙げたかったのですが、『宝島』も戦後沖縄の歴史を取り上げていて時代性を反映していて、さらに登場人物の躍動感もあり、これはこれで素晴らしい作品でした。
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本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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