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小野寺 史宜 ひと





特別なことは何もない、ある青年の日常を描く長編の青春小説で、2019年本屋大賞の候補作になった作品です。

   目 次
 一人の秋
 一人の冬
 一人の春
 夏


父を亡くし、東京の大学に通ううちに母も亡くした大学生の男の子が、大学もやめ、たまたま立ち寄った総菜屋さんで働くことになった日々を、ただただ普通に描いてあるだけの青春記です。

本書で描かれているのは、「目次」からもわかるように一年間だけの出来事です。そして、最終章だけは「夏」となっている理由も読了後にわかります。

主人公は、名を柏木聖輔といい、両親を亡くし天涯孤独の身になった青年です。

この聖輔が有り金が五十五円しかないときに五十円のコロッケを買おうとするときに、ちょうど居合わせたおばあちゃんに順番を譲ったことをきっかけに、この総菜屋で働くことになるのです。


この青春記では大きな出来事は何も起きません。登場する人物は基本的に善人ばかりです。ただ一人、善人とは言えないだろう人物がいますが、それもその他大勢の一人と言えます。


主人公の聖輔の平凡な日常を平凡に描き出しているこの物語は、ただ聖輔の日常が描かれるだけで面白くもなく、本屋大賞候補作となった理由がわからないと思いつつ読んでいました。

しかし、それでもなお読み続けるうちに、妙に惹かれていきます。

聖輔の何でもない日常の中に、店に来るお客さん、同じ商店街に暮らす人、かつて在籍していた大学の友達、それに高校時代の同級生との再会など、日常の積み重ねの中に人とのつながりができていくのです。

そうしたつながりに読み手である自分の心が癒されていて、そこが本書に心惹かれている理由だと思われます。

そして本書最終行でその気持ちにとどめを刺されます。

特別ではありませんが、それでもなお心惹かれる作品でした。
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このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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