海道 龍一朗 真剣 新陰流を創った漢、上泉伊勢守信綱

真剣 新陰流を創った漢、上泉伊勢守信綱(上) (講談社文庫)真剣 新陰流を創った漢、上泉伊勢守信綱(上) (講談社文庫)
(2012/12/14)
海道 龍一朗

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真剣 新陰流を創った漢、上泉伊勢守信綱(下) (講談社文庫)真剣 新陰流を創った漢、上泉伊勢守信綱(下) (講談社文庫)
(2012/12/14)
海道 龍一朗

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この本は良い。冒頭から一気に惹きつけられました。後でこの本がこの作家のデビュー作だと知り、新人でこんなにも魅力のある文章をかけるのだと驚きました。それほどに人間や、何よりも立ち会いの場面の描写が見事なのです。

また、本書の構成も素晴らしいのです。まずは自らも塚原卜伝から奥義を伝授されるほどの武将である北畠中納言具教との立ち会いの場面から始まり、ここでの描写で読者の心は一気に掴み取られます。その後北畠具教から教えられた宝蔵院胤榮との立ち会いへと話は進むのですが、その前に上泉伊勢守信綱の生い立ちについての、改めての物語に入ります。

上泉伊勢守信綱という人は活劇小説に良くあるような、禄を食んでいる侍とか、その生活に何の縛りも無い浪人などではなく、小なりとはいえ領地経営をもこなさなければならない城持ちの武将です。 こうした領地を有する武将が剣の道に進むそのことがまずは不思議でした。ただ、この人の師である松本備前守もそうで、この時代の剣豪には武将である人も多かったようです。こうした点についてもそれなりの解説があったのは嬉しい配慮です。

一方、もう一人の師である愛洲移香斎は自由人であったようです。

尤も、この人の師匠が誰かという点については諸説があるようなのですが。

この後、曲折があり、剣の道を極めんとする孤高の生き方を選んだ上泉伊勢守は、冒頭の北畠中納言具教との場面に至ります。その後、柳生宗巌を立会人としての宝蔵院胤榮との立ち会いの場面の描写はとにかく読んでもらいたい、というしかありません。血が湧きます。

この宝蔵院胤榮の物語も少し語られていますが、この話も面白い。また宝蔵院胤榮や柳生宗巌の会話が関西弁で為されるのです。当たり前と言われればそうなのですが、最初は驚きました。しかしすぐに慣れ、逆に実にリアリティを持って読むことが出来ました。関西弁を話す柳生一族。面白いです。

とにかく、まずは読んでみて欲しい、としか言えません。面白いです。

海道 龍一朗 禁中御庭者綺譚 乱世疾走

禁中御庭者綺譚 乱世疾走 (新潮文庫)禁中御庭者綺譚 乱世疾走 (新潮文庫)
(2007/11/28)
海道 龍一朗

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下流公家ではあるが天皇の信任の厚い立入左京亮宗継は、山科言継と共に天皇の耳目となるべき禁中御庭番を作ろうと思い立つ。そこで上泉伊勢守信綱、宝蔵院胤榮、柳生宗巌の三人の知恵を借りて5人の若者を選びだした。新陰流の丸目蔵人、宝蔵院の大角坊、堺の商人の息子楠葉西門、陰陽師の香阿弥こと土御門有之、そして柳生宗巌の妹の凛の5人である。5人は織田信長の動向を探るべく、山科言継の同行者としてまずは岐阜へと旅立った。

先日読んだ宮本昌孝の「剣豪将軍義輝」にしてもそうだし、葉室麟の「いのちなりけり」にしてもそうなのだけれど、どうも歴史上の事実を詳細に書き込んである歴史小説を読めなくなってきているようです。読めないというと言い過ぎだけど、少なくとも昔のようには面白いと思えなくなってきているのかもしれません。

この本にしてももう少し選抜された5人が活躍するのかと思っていたのですが、それほどではありませんでした。それよりも歴史的事実の動向が先にあり、5人はその中で動いているにすぎないと感じてしまうのです。勿論、この5人の役目が天皇の目となり、耳となることであって、何事かを為すことではないのでそれも当然ではあるのでしょう。

しかし、「驚天動地の大活劇がいま始まる。」という謳い文句なのですから、冒険活劇小説を期待しても間違いではないと思うのです。その謳い文句にしては期待外れででした。

しかし、ほかでも書いたのですが、歴史が好きな人にはたまらないでしょう。

蛇足ながら、この作家には上泉伊勢守信綱を描いた作品で「真剣」という作品があるそうなので、読んでみたいと思います。ただ、もしかしたら昔読んだことがあるかもしれない、のが不安です。昔読んだ上泉伊勢守信綱についての小説はかなり面白かったのです。この作者かも・・・。

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(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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