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本多 正識 吉本芸人に学ぶ生き残る力


本書は、漫才作家であり、天下の吉本興業の吉本総合芸能学院(NSC - New Star Creation)の講師でもある、本多正識(ほんだまさのり)氏が「生き残る力」について書かれた本です。

私は子供の頃からお笑いが好きで、でんすけ劇場や花月劇場(吉本新喜劇)はよく見ていました。二十歳過ぎ(多分)てから見たやすきよの漫才の面白さは今でも覚えています。

落語も好きで、噺家を主人公とした小説も読みました。30年以上も前のことなので書名も覚えてはいませんが、それでも結城昌治の『志ん生一代』や安藤鶴夫の『三木助歳時記』だったかは覚えています。噺家としては三木助や文楽が好きでよく聞いたものですが、今では全く聞かなくなりました。

本書はそんな第一線の噺家、漫才師について書かれたものではなく、今のテレビで活躍する人気芸人との対談を挟みながら、著者の見聞きした逸話をもとに語る人生論です。

対談で出てくる芸人は、岡村隆史(ナインティナイン)、西野亮廣(キングコング)、山里亮太(南海キャンディーズ)、村本大輔(ウーマンラッシュアワー)であり、最後に現在の吉本興業社長の大﨑洋氏が登場します。

  • 第一章 人は誰かに生かされている
  • 第二章 人づきあいにも一手間かけて
  • 第三章 とにかくやってみる
  • 第四章 芸人の生きざまに学ぶ

という構成ですが、残念ながら読み応えは今一つというところでしょうか。

私は普段から色々な媒体でお笑いの人の言葉を見聞きしていたので、ナインティナインが著者の言葉でボケとツッコミを交代したとか、お笑いを目指すならばニュースを見るべき、など紹介されているエピソードの多くは、すでに聞いたことがある話だったのです。芸人の世界の裏話に対するミーハー的な興味もあり、もう少し目新しいことを期待していたので残念でした。また、主題の「生き残る力」にしても、少々抽象論に過ぎるかなという印象です。

それでも、各対談は面白かったし、画面の中では面白おかしく、何の苦労も見せていない芸人さんの、実際の苦労の一端を垣間見れたことは収穫だったでしょうか。

とはいえ、伝説と言われる講師の言葉ですから、その言葉にはやはり重みがあり、染み入ってくるものも十分にあります。私のような中途半端に笑いの世界の小ネタを知っている人間は、このネタも聞いたことがある、などと主題ではないところで関心を失ってしまい、素直ではありません。そうではなく、真っ白な気持ちで読む人には書の良さがより判るかもしれません。

コロッケ マネる技術

マネる技術 (講談社+α新書)マネる技術 (講談社+α新書)
(2014/06/20)
コロッケ

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コロッケという芸人さんは改めて言うまでも無い「ものまね」の達人です。その芸はかならず私たちを笑わせてくれます。驚くのは大体において見るたびにネタが異なることでしょうか。例え同じネタであっても確実に笑わせてくれるのですが、全く同じネタということは無いのではないでしょうか。どこかしら進化していますね。100%の面白さをもたらしてくれる芸人さんだと思っています。大ファンです。

そんなコロッケが本を書いたというのですから、これは読まないわけにはいきません。でも、残念ながら個人的には若干の期待外れの本ではありました。

誤解を恐れずに言えば、書いてあることが聞いたことがあるような印象を受けるのです。ものまねの対象となる方には愛情を持って接することや、ものまねという芸には終わりはなく、常に進化し続けるものだとか、常日頃コロッケがテレビの画面の中で語っている事柄です。そのことが少々の味付けを変えて語ってある、そういう印象です。

決して読む価値が無い本だと言っているのではありません。あくまで個人的に、コロッケがテレビで言っていた諸々の事柄以上に目新しいことが少なく感じたということです。結局、私がコロッケという芸人が好きで、この人の出るトーク番組等はよく見ていたのでそう思うのでしょう。ですから、これまであまりコロッケという人を知らない人や、ネタを見るだけだった人には面白い本ではないでしょうか。

例えば第一章は、「第一印象」はいらない、というタイトルです。第一印象にとらわれるべきではなく、対象を楽な目で見て柔軟に発想したほうがいい、という意味のことが書かれています。素人考えでは第一印象にその人のイメージが現れているように思え、少々違和感を覚える言葉ではあります。でも、その意味は、一つの印象に捉われてしまうと本質を見失う恐れがありますよ、ということを具体例を交えながら読みやすい文章で語っています。

第二章の「好奇心が現実を変える」もそうです。柔軟な観察の先には洞察力を持って、本質を見抜く力を養いましょう、と言っていて、ものまねの第一人者であるコロッケの芸に対する姿勢や考え方を知るには最適の本といえます。

コロッケがデビューした番組である「お笑いスター誕生!」は私も見ていました。形態模写で大爆笑を取っていました。その後、コロッケがいつの間にか声帯模写まで見事にこなしているのを見て驚いたものです。

この人は私の住まう熊本市の出身ということは知っていたのですが、彼が当時私が飲みに行ってたそのビルの別の店でものまねをやっていたと聞いたのはずっと後のことです。

この人の芸の進化については改めて言うまでも無いことで皆知っています。それまでの「色もの」と言われていたものまねという芸を、超一流のエンターテインメントとして昇華させた人と言えるでしょう。

とても軽く読める本でもありますし、未だコロッケのことをよく知らない人がそのコロッケの一端を知るためには良い本かもしれません。

奥 浩哉 GANTZなSF映画論

GANTZなSF映画論 (集英社新書)GANTZなSF映画論 (集英社新書)
(2012/05/10)
奥 浩哉

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本書のタイトルにある「GANTZ」と聞いて何人の人が漫画のタイトルだと気付くでしょうか。もしかしたら映画化もされた作品なので私が思うよりも多いかもしれません。

人知れず地球上で普通に生活している「星人」と呼ばれる宇宙人と、一旦死んだけれどもGANTZと呼ばれる黒い玉により生き返らされ、闘うことを義務付けられた人達との戦いを描いた漫画なのですが、その作者が本書の著者である奥浩哉氏です。かなり丁寧な画を書かれる漫画家さんです。勿論SF漫画であり、宇宙人の襲来の場面などは実に丁寧に書き込まれている、かつて言われた「漫画」という言葉では表現しきれない「画」を書かれる人です。

その奥浩哉が今までに見たSF映画について書かれています。

「映画論」と銘打ってはありますが、どちらかと言うと奥浩哉の好きな映画の紹介、と言った方が良いのではないでしょうか。奥浩哉なりの映画についての思いを語ってあり、そ映画制作の視点や方法論にも若干ですが触れてあります。しかし、それはあくまで奥浩哉の「思い」であり「感想」であって、対象となる「SF映画」の意味や方法論についての意見を展開する、という意味での「論」にはなっていないと思います。

何より、紹介する映画の紹介は良いのですが、紹介する多数の映画の結末までを書いてあるのは頂けません。もしかしたら「映画論」と銘打ってあるのですからこういう展開も有りなのかもしれませんが、個人的には結末までも記載する必要性は感じられませんでした。

本書中には100本ほどの映画が記されていますが、私が見てない映画は数本しかありませんでした。従って、結末まで書かれていても個人的には問題は無いのですが、映画好きとしては気になります。また、ちょっとSF映画が好きな人ならここに挙げられている作品は大体見ているのではないかとも思いました。

「GANTZ」という大好きな漫画の作者の語る映画論、ということで期待して読んだ分ハードルが上がり過ぎたのかもしれません。薄い本で、一本の映画の紹介は簡単なものです。ですからわりと気楽に読める本ではあります。

ビートたけし ヒンシュクの達人

ヒンシュクの達人 (小学館新書)ヒンシュクの達人 (小学館新書)
(2013/12/02)
ビートたけし

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私の好きな芸人さんの一人である「ビートたけし」の言葉をつづった文章です。

常に毒を吐き、それを笑いに変えてテレビの中でシニカルな笑いを浮かべている芸人さんです。述べてあることは実に正論だと思います。でも、その正論をなかなかに言えないのが今の社会なのでしょう。

勿論この中で言われていることに全面的に賛成というわけではありませんが、概ね納得させられてしまうのではないでしょうか。大半人はそうだと思います。

週刊誌に連載されている「たけし」の連載をまとめたものだそうです。この人はやはりすごいと思わされる言葉が並んでいます。

例えば、「悲しみは本来『個人的なもの』」という項の中で、東日本大震災に関し、「2万人の人が死んだ一つの事件」と考えると被害者のことを理解できない、「人の命は2万分の1でも8万分の1でもない。そうじゃなくて、そこには『1人が死んだ事件が2万件あった』ってことなんだよ」、と言うのです。個々人の悲しみを想像できないようになってくる、それこそが冒涜だ、と。

また別の項では、「人間、自分が圧倒的に優位な立場にいるときに、相手にどう振る舞うかで品性みたいなものがわかる。」とも言っています。「弱い立場の相手をかさにかかっていじめるのは、とにかく下品なんだよ。」というのです。

日ごろ自分がテレビでやっていることは滅茶苦茶なことのように思えるのですが、それもしたたかな計算の上にあるものなのでしょう。

実に小気味よく、説得力ある言葉が並んでいます。

短時間で読めます。是非一度読んでみることをお勧めします。

水道橋博士 藝人春秋

藝人春秋藝人春秋
(2012/12/06)
水道橋博士

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お笑いが好きで、見るテレビ番組も芸人の出るバラエティーが大半の私です。

本当は吉本の笑いが好きなのだけれど、北野武のハチャメチャぶりもまた好物です。お笑いウルトラクイズなど、ホントに馬鹿だなぁと言いながら見ていたものです。でも、「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」はついていけませんでした。

初期の電波少年と同じく、私の中でのお笑いと下品との限界を超えていたのです。

本書の著者水道橋博士はネタは多分一度くらい見た気もするけど覚えていません。多分見ていないのでしょう。

その水道橋博士のルポです。対象が面白そうで読んでみたのだけれど、拾いものでした。この頃テレビで見る水道橋博士は馬鹿をやっている姿ではなく、本音を語る場面を多々見る機会があったので頭のいい人だとは思っていたのだけれど、これほどまでに文章力もある人だとは思ってもみませんでした。対象への切り口が非常に冷静で自分らの知らない姿を見せてくれているように思えました。

期待して読んだ「たくらむ技術」とは異なり、なかなかに面白く読めました。

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Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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