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藤原 緋沙子 月凍てる: 人情江戸彩時記

月凍てる: 人情江戸彩時記 (新潮文庫)月凍てる: 人情江戸彩時記 (新潮文庫)
(2012/09/28)
藤原 緋沙子

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「夜明けの雨-聖坂・春」、「ひょろ太鳴く-鳶坂・夏」、「秋つばめ-逢坂・秋」、「月凍てる-九段坂・冬」の四作が収められた短編集です。

最初の短編「夜明けの雨-聖坂・春」を読み終えたとき、藤沢周平作品に似ている、とまず思いました。今では藤沢周平作品は殆ど読破してしまうほどなのですが、作品名は忘れましたが最初に藤沢周平作品を読んだときは、日常をそのまま描いて特に山場も無く平板に終わってしまったという印象で、その面白さが分からなかったのです。本書の「夜明けの雨」もそうで、特に主人公の思いがそのままどこかに消えてしまって、そこには何も無さそうで、全く同様の印象だったのです。

しかし本書の読了後は、登場人物の日常を決して派手にはならない丁寧な描写で綴るその文章は、いつしか心に染み入ると思うようになり、その変化まで藤沢作品の場合と同じなのです。

全短編を読了してから他の人の感想を読んでみるとやはり同様の感想を抱かれたらしく、どの人も藤沢周平の「橋ものがたり」を思い出した、とありました。本作品が坂をモチーフに書かれている点が「橋」をモチーフとしている藤沢作品と重なるようです。

あとがきで縄田一男氏が「藤原緋沙子という作家は故藤沢周平氏への深い傾倒があったという。」と書かれています。また、同じくあとがきに藤原緋沙子の言葉として「江戸が坂と川の町だったのも大きいですが、『坂』と『川』が結界だったことも意識しています。」と書かれていて、結界を越えることにより変化が生じ、ドラマが生まれると言う意味のことを書いておられます。藤沢作品を念頭に置いて本書があると言えるのでしょう。

ただ、今ではこの作家の他の作品も読んでみようと思うのですが、ネタばれになるのであまり書けませんが、やはり最初の短編だけはどうも好きになれないようです。

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Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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