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藤沢 周 武曲

武曲武曲
(2012/05/23)
藤沢 周

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誉田哲也の「武士道シリーズ」のような青春小説と思い読み始めたら、全くと言って良いほどに異なる物語でした。

主人公の羽田融(はだとおる)はラップに夢中になっている高校生だ。言葉の持つ美しさを最大限表現すべく日々考えている。もともと陸上部のスプリンターだったのだが先輩と衝突して今は帰宅部である。その融が剣道にはまった。北鎌倉学院高校の剣道部のコーチである矢田部研吾から一本を取ったのだ。一方、矢田部研吾は融の中に今は植物人間となっている父矢田部将造の殺人剣の姿を見たのだった。

読後にこの本の「BOOK」データベースの文句を見たら「超純文学」とありました。「超純文学」という言葉は初めて聞きましたが、大衆小説ではないけど、純文学とも言えない、というニュアンスなのでしょうか。「純文学」「大衆文学」という分類自体あまりよく分からないし、意味があるとも思えないのですが、単なるエンターテインメントではない、ということを言いたかったのだと思うことにします。

そうであるならば、少しは意味が分かるからです。剣道というスポーツ自体が個人的でより人間の内面に関わる武道だと思っているのですが、本書でも羽田融についてもそうですが、もう一人の主人公である矢田部研吾の内面をより深く描写しています。親子の物語でもある本書の眼目でもあるので書けませんが、アル中である矢田部研吾の内面の葛藤は読んでいて少々辛いものもありますし、とても理解できるものではありません。かつて、遠藤周作の「沈黙」という本に驚いたことがあるのですが、弱者を弱者として見つめているその本の方が腑に落ちた感じがしたものです。

本書は、剣道の入り口を覗いたことのあるだけの身では感覚として分かりにくいところがありました。スポーツとしての剣道しか知らない自分にはちょっと重すぎたのかもしれません。

エンターテインメント性のある青春小説を期待している人はやめた方が良いです。しかし、剣道に強い関心がある人にとっては面白い物語だと思います。ただ、明るくはありません。

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このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
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本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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