小島 英記 天下一の剣 伊藤一刀斎

天下一の剣天下一の剣
(2008/12)
小島 英記

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今一つ、小説として中途半端にしか感じられず、決して面白い小説とはいえないものでした。 もともと、伊藤一刀斎という人物自体詳細がよく分かっていない人らしく、生年や生誕地など異説が多数存在します。

本書は伝承で伝わっているエピソードをつなぎ、小島英記という作家なりの伊藤一刀斎を作り上げようとしています。しかし、それが決して成功しているとは言えないのです。

大島で流人の子として生まれ、十五歳の六尺(180cm)豊かな若者として育っていた弥五郎は、山で知り合った山伏に師事し剣術を習う。しかし、その師匠が惨殺されたことからその仇を討ち、島を抜けることとなってしまう。何とか本土に辿り着いた弥五郎は、その後三島神社の矢田部宮司に拾われ、行儀作法も習い、有名な甕割刀をも手に入れるのだった。

この時点で物語はまだまだ五十頁にも達しておらずこの小説の冒頭部分に過ぎないのですが、少々好みと違う小説だと気づきました。どうも、読み手である私とこの小説との交流は上手くいかないのです。登場人物に深みを感じられず、歴史的事実の羅列としか感じられませんでした。

『一刀流口伝書』などで伝わる伝承に種々のエピソードが書かれているらしく、本書でも色々なエピソードが盛り込まれているのは判るのです。しかし、もう少しそうした伝承を練り上げ、物語として展開されるのを期待していたのですがかないませんでした。

ただ、立ち会いの場面は剣筋をきちんと示し、立ち会いの臨場感を感じられる表現になっており、この丁寧さが物語本体にも欲しいと思いつつ読んだものです。

小さな違和感、例えば伊藤一刀斎は自分こそが天下最強との自負を抱いていながら、師とも仰ぐ上泉伊勢守信綱との久しぶりの邂逅の時も旧交を温めるだけで別れています。最強を自負する以上は決着をつけたいと思う筈なのに、何故にこの二人は戦わないのか、また、後継者を選ぶために突然愛弟子たちに命懸けの戦いを命じるのですが、何故命がけの戦いを命じたのか、そうした理由、意味については何も語られていません。こうした点をこそ想像力で満たしてほしかったのです。

欠点ばかり挙げていて申し訳ないのですが、この作家の作品は多分読まないのではないかと思います。

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本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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