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月村了衛 機龍警察

機龍警察(ハヤカワ文庫JA)機龍警察(ハヤカワ文庫JA)
(2010/03/19)
月村 了衛

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十数年前にコミックやアニメでかなり人気を博した「機動警察パトレイバー」の小説版、と言ってもいいかもしれません。それほどに世界観が似た小説です。と言っても、アクション小説としての面白さは、単なるアニメ類似の作品として捉えていては大きな間違いを犯すことになります。

警視庁の通信指令室より指令を受けた巡回中のパトカーが現場に駆け付けると、そこで見たものは「キモノ」と称される二足歩行型軍用有人兵器「機甲兵装」だった。パトカーを一瞬で踏み潰した「機甲兵装」は江東区内を滅茶苦茶に走り回り、多大な人的物的被害をもたらした後、地下鉄有楽町新線の千石駅に停車中の地下鉄車両を人質に立て籠ったのだった。

冒頭からハリウッド映画を思わせる展開で幕を開けます。犯人は「機甲兵装」、簡単に言えばSF小説や映画によく登場するパワースーツです。この手のSFやアニメが苦手な人でもちょっとだけ我慢して読み進めてもらえれば、単なるエンタメ小説とは少々異なる骨太のアクション小説であることが分かると思います。

主人公は警視庁内に設けられた特捜部であって、そこが保有する「龍機兵(ドラグーン)」と呼ばれる三機の新型「機甲兵装」を核に物語は進みます。つまり、特捜部を纏める部長の沖津旬一郎や城木、宮近といった理事官、「龍機兵」の技術的側面を管理する鈴石緑技術主任、そして「龍機兵」を操縦する姿俊之、ユーリ・オズノフ、ライザ・ラードナーの三人などです。これらの登場人物の個性がユニークに、そして綿密に書き込まれています。また姿を始めとする操縦要員達が傭兵、元IRAのテロリスト、元ロシア警察官と物語上魅力的に設定されているのです。

確かに、SFやコミックがあまり好きではない人たちにとっては冒頭から「機甲兵装」が暴れまわるという設定はあまり受け入れにくいかもしれません。しかし、その点さえ少々目をつぶって読み進めればアクションの面白さ、登場人物の個性の描き分け、など予想外の面白さを見つけることが出来ると思います。

難点を見つめるとすれば、それは若干の美文調の、そして似たことになるのかもしれませんが、少しの感傷が見られるその文章でしょうか。しかし、それも個人の嗜好の問題であってその点が良いという人もいることでしょう。本作での特捜部の位置付けが全警察官から嫌われている部署である、という設定からも、決して明るい物語ではないのです。とすれば、自然登場人物も鬱屈を抱えて行動することになるのでしょうし、人物の情緒的側面が強調されるのもかえって効果的なのかもしれません。

本作は機龍警察シリーズの一作目であり、「龍機兵」は何処からどうやって警視庁特捜部にやってきたのか、何故三人の操縦者達は外部の人間なのか、沖津旬一郎はどういう人間なのか、警察内部に巣くう反対勢力は何者なのか、など本書を読み終えても分からない謎は山ほどあります。そうした謎は今後のシリーズの展開の中で明らかにされていくのでしょう。

ということで、本書ではまず姿俊之の過去が若干明らかにされています。次巻ではライザ・ラードナーに、第三巻ではユーリ・オズノフに焦点が当たっているようです。

繰り返しますが、かなり面白いアクション小説であり、冒険小説です。

百田 尚樹 影法師

影法師 (講談社文庫)影法師 (講談社文庫)
(2012/06/15)
百田 尚樹

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しばらく前に読了しており、レビューの下書きも済んではいたのですがUPするのを忘れていました。

茅島藩八万石の筆頭国家老である名倉彰蔵は旧友の磯貝彦四郎が既に二年前の冬に死んでいたことを知らされる。磯貝彦四郎は名倉彰蔵の竹馬の友でありながら、しかし、とある不始末で藩を逐電した男でもあった。若い頃は文武に優れていた彦四郎が何故に今頃になって戻ってきたのか、何故に彦四郎は胸を病み、貧しさの中に死ななければならなかったのか。

身分制度のはっきりとした地方の小藩の下士の家に生まれ、彰蔵がまだ名倉彰蔵ではなく戸田勘一と名乗っていたころ、父千兵衛は勘一の短気が元で上士に切り付け、逆に殺されてしまう。その騒ぎの折、泣きじゃくる勘一に「まことの侍の子なら泣くな」と言ったのが磯貝彦四郎であった。彰蔵は当時はまだ戸田勘一という名であった自分が、彦四郎と初めて会った、生涯忘れることのできないその日のことを思い出していた。

百田尚樹といえば大ベストセラーとなりった『永遠のゼロ』の作者であり、第10回本屋大賞受賞作の『海賊とよばれた男』を著した人でもあります。その人が書いた初の時代小説なのです。期待は膨らむばかりでした。そして、その期待はそれなりに裏切られることはなかった、と言えると思います。さすがに上手い作者だ、というのが最初の感想でした。どこか浅田次郎の小説に似ているのです。特に『壬生義士伝』がそうでしょうか。

ただ、「上手い」という印象は、「感動した」というのとは異なります。浅田次郎の『壬生義士伝』の時も上手い作家だと感心し、更に心の隅に暫くは感動と言ってもいい余韻が残っていたものです。残念ながら本作の場合はその余韻があまり残りませんでした。

私が読んだ文庫版の裏表紙に「確かな腕を持つ彼(彦四郎)が卑怯傷を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。」とありました。あまり詳しくは書けないのですが、この卑怯傷こそが浅田次郎程に本書にのめり込めない理由だと思います。

また文庫本の帯には「男の友情、そして絆」とありました。作者は男の在り方らしきものを書きたかったのではないかと思うのですが、しかしながらあまりに現実感が無いのです。学問に優れ、剣にも秀でていた彦四郎の生き方としては少々、いやかなり無理な設定だと感じたのです。

また、彦四郎の人となりについてある時期からは全く描いてありません。それこそが作者の意図だったかとは思うのですが、個人的にはそのことが逆に現実感を無くす理由の一つになっている気もします。

更に言えば、単行本では未収録で文庫本だけに収録された部分が袋とじになっていました。本書終盤で彦四郎の裏の思惑とでも言うべきものが垣間見えるのですが、そのことが書かれているのです。人によっては意外性を好む人もいるかもしれませんが、個人的にはこの部分は無い方が良かった気がします。同じ感想を持つ人もかなり居るのではないでしょうか。

とはいえ、そうした批判的印象を持ちながらも面白い小説だと思うのですから、やはりこの作者は上手いです。

未須本 有生 推定脅威

推定脅威推定脅威
(2014/06/27)
未須本 有生

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この本の売り文句として「理系ミステリー」という言葉がありました。まさにその通り。航空機好きの人にはたまらない魅力を持った本ではないでしょうか。

領空侵犯が疑われる不明機のためにスクランブル発進をした自衛隊機は、失速により夜の日本海に墜落した。相手はプロペラ機であり、何故に低速側の速度制限を下回った減速をしたのか不明で、パイロットの操縦ミスと考えるしかなかった。その事故機の機体検証作業を言い渡されたのは新しく四星工業のT-F1技術管理室に配属された沢本由佳(さわもとゆか)だった。事故機のデータをもとに動かされるフライトシミュレータを体感した沢本は異常操縦の原因として侵入機が関わっているのではないかと考えるが、即座に否定されてしまう。しかし、その言葉が気になった由佳の上司の永田は知人のデザイナー倉崎修一に相談する。この倉崎は以前T-F1技術管理室で永田の部下であった人物だった。

とにかく、航空機、それもジェット戦闘機の専門的な知識が飛び交う小説です。だからと言って読者を置き去りにしているのではなく、それなりの説明が邪魔にならないように加えてあります。まさに「理系ミステリー」であり、かつその知識を十全に生かしたミステリーになっていると言って良いと思います。

著者の未須本有生( みすもとゆうき )氏は東京大学工学部を卒業の後、大手のメーカーで航空機の設計に携わっていたそうで、まさに航空機業界の専門家なのです。その後独立し、デザイナーとして活躍されていたといいますから、本書のキーマンとして登場する倉崎修一という男は作者自らが投影された人物なのでしょう。まあ、恋愛の部分は判りませんが。

また、仕事柄色々なテストパイロットとも知り合いになり、その素晴らしい能力、人柄に触れ、自らが知己を得たテストパイロットを紹介したかった、ということも語っておられます。

本書中に登場するT-F1という航空機に関しては、1980年代に導入された現在の日本の主力戦闘機であるF15戦闘機とその後継機と目されていいるF35の間があまりにも空いてしまったので、物語の中で、その間隔を埋めるために国産で間を埋める飛行機を作ろうということで創作したといいます。戦闘機としても使用し得る練習機、という都合のいい航空機だそうです。

航空機業界の内部やその業界の民と官の在り方、それに自衛隊内部のパイロットたちなど、普段私達一般人が目にも耳にもしない情報が詰め込まれている作品です。そうした目新しい分野を舞台にして、その専門的な知識があればこそ書くことが出来るミステリーとして十分な面白さを兼ね備えた小説です。

ただ、作者本人も一番難しかったと言われているように、主人公の沢本由佳と倉崎修一との関係で由佳の性格設定などに若干違和感を感じたのですが、それも個人の好みでしょう。

デビュー作でこれだけのものを書かれたのですから、今後を更にその知識を生かした作品を期待したい作家さんです。

浅田 次郎 一路

一路(上)一路(上)
(2013/02/22)
浅田 次郎

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一路(下)一路(下)
(2013/02/22)
浅田 次郎

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数え年で十九歳まで江戸表で暮らしていた小野寺一路は、郷里の屋敷の焼失による父弥九郎の突然の死去により、参勤交代の御供頭を勤めることとなった。しかし、一路は御供頭の仕事について何も教えられてはおらず、また、貧乏くじを引くのを恐れて誰も手伝ってもくれない。途方に暮れる一路だったが、屋敷の焼け跡から見つけた「元和辛酉歳蒔坂左京大夫様行軍録」と記された冊子頼りに、古式に則った参勤交代を行うことを決意するのだった。

小野寺一路の仕える殿様の蒔坂左京大夫(まいさかさきょうのだいぶ)は参勤交代はしますが大名ではありません。知行七千五百石で、禄高も格式も高いという、世襲で知行地を持ち参勤交代の義務を負う交代寄合と呼ばれる旗本なのです。作者が大名ではなく、旗本の参勤交代という設定にしたのは、参勤交代の御供頭という役目を何も知らない十九歳の若造に負わせても不思議ではない舞台を設けるためなのでしょう。

とはいえ、大名ではないけれども格式は高い交代寄合という身分設定は、物語全体を貫いて実に絶妙な立場として物語が成立しているのです。浅田次郎という作家の手腕が発揮されている作品だと思います。

本作品は、言い切って良いか疑問はありますが、まあ、コメディなのでしょう。なにせ馬同士の会話や鯉の独白などが挟み込まれるのです。また、参勤の行列の先頭を飾る朱槍を捧げ持つ槍持ち奴が偶然にも一路の前に現れたり、御本陣や宿屋の予約、行列の先のりなどの雑用をこなしてくれる和尚がいたりと、実に都合よく話が進みます。しかし、『きんぴか』や『プリズンホテル』ほどに飛んでるわけではありません。時代小説としての作法はきちんと踏まえた上での物語なのです。

ただ、『新選組三部作』や『天切り松 闇がたりシリーズ』といった浅田次郎の一級の作品程の面白さは感じませんでした。本書で示されている侍のあり方というテーマも『黒書院の六兵衛』の方がより直接的で読み応えがあったように思います。ストーリー自体も少々物足りず、思いのほかに一路の思惑通りに行列が進みます。蒔坂左京大夫の人物設定が名君としてのありながらそれを押し隠しているさまも、また敵役として登場する蒔坂将監も、夫々に登場人物として魅力に欠けるからでしょうか。他の作品ほどに物語の世界に入っていけませんでした。

浅田次郎の作品ですので、作品の完成度に対する私の要求がかなり高くなっています。そうした要求を差し引いて見ると、そこはやはり浅田次郎の物語なのです。そういう意味では面白く読めました。

黒川 博行 疫病神

疫病神 (新潮文庫)疫病神 (新潮文庫)
(2000/01/28)
黒川 博行

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『破門』という作品で2014年の直木賞を取った黒川 博行という作家の作品を、どうせならシリーズの最初から読んでみようと思い借りた作品が本書です。結論から言うと、実に面白い。登場人物のキャラも見事で主人公の二人の掛け合いは上質の漫才の掛け合いにも似て小気味いいのです。本書も第19回吉川英治文学新人賞と、第117回直木三十五賞の夫々の候補作品となっています。

建設コンサルタントの二宮啓之は富田林の産業廃棄物の中間処理業者である小畠総業の小畠一三の訪問を受けた。富南市(とうなんし)の天瀬(あませ)に廃棄物を埋める最終処分場を作る計画があるが、地元の水利組合がごねているという。そこで、その組合長の印鑑を貰うために組合長の弱みを探ってほしいというのだ。高額の報酬につられた二宮はその仕事を引き受ける。しかし、巨額の金が動く処理場の開発には様々な思惑が絡み、また、二宮が仕事を依頼してる二蝶会の桑原という男が金の匂いを嗅ぎつけてしゃしゃり出て来るのだった。

全編が産業廃棄物処分場に絡むゼネコンから暴力団までの様々な思惑が入り乱れます。産業廃棄物処理場なるものの開発にどのような手続きや根回しが必要なのか、全くその世界を知らない身としては驚きの連続です。勿論小説ですのでデフォルメはあるでしょうが、それにしても良く調べられ、リアリティのある背景を仕上げてあります。

何といってもこの小説の一番の魅力は先にも書いた二宮と桑原との掛け合いでしょう。大阪弁そのままに交わされる二人のやり取りはユーモアに満ちており、大変にリズミカルで小気味いいのです。

ヤクザとしてそれなりに名の通った桑原の、「金」を行動原理の全てとする様は徹底しています。一円にもならない仕事は歯牙にもかけません。たとえそれが二宮の命がかかっているような頼みごとであっても、自業自得や、と言いきってしまうだけです。一方の二宮は博打で借金をこさえ、その返済に汲々としているどうしようもない男です。しかし、どこか根底で譲れない芯を持っており、途方も無い無茶をしでかしたりします。

そうした二人ですが、二宮が対立するやくざに拉致されても桑原は勝ち目が無いと見るや一目散に逃げ出してしまいます。それでいて、どこかギリギリのところで繋がっているようで、最終的には単なる計算づくではない間柄というものが感じ取ることが出来ます。だからこそ、読んでいて心地よく、感情移入出来るのでしょう。

文庫本で5百頁を越える分量なのですが、リズムよく読み進めることが出来るのでその長さを感じません。また続編でこの二人の掛け合いを読みたいと思わせられる作品でした。

楽しみなシリーズがまた増えました。直木賞受賞作に至るまでゆっくりと読み続けたいと思います。

上田 秀人 密封

密封<奥右筆秘帳> (講談社文庫)密封<奥右筆秘帳> (講談社文庫)
(2007/09/14)
上田 秀人

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「奥右筆とは、幕府の施政にかかわるすべての書付を制作保存するのが任であった」役職です。「幕府の諸役、大名旗本から執政衆に出される書付は膨大な数にのぼる」ため、「まず奥右筆組頭が可否の意見をつけ」たのだそうで、そのため、奥右筆組頭は役高四百俵、役料二百俵で、御四季施代金二十四両二分を支給されているものの、「便宜を図ってもらおうとする者からの付け届けは」群を抜いていて、「実収入は三千石の旗本を凌駕するほど」だったと本文中に記されています。この奥右筆組頭の立花併右衛門が田沼家からの家督相続願いを手にしたところから物語は展開し始めます。

近年、文庫本による時代劇ブームが言われて久しいのですが、本書というよりも上田秀人という作家の作品は、その重厚感からしてブームの中の作品とは若干異なるように感じます。それくらい物語に厚みがあり、時代背景も含めて書き込まれています。

単に文庫本で四百頁を越えるというその分量だけではなく、中身が濃いし、夫々の主人公の設定も面白いのです。

本書に限って言えば、主人公は柊衛悟(ひいらぎえいご)なのでしょうが、この柊衛悟自身は次男坊であり時間が自由に使える身分であって特別なものではありません。そうではなく、柊衛悟が護衛をすることになる隣家の当主である立花併右衛門(たちばなへいえもん)が冒頭に書いた奥右筆という立場です。この立場で様々の幕府の秘事にも接することが出来るがために争い事に巻き込まれていくのです。

本書はシリーズの第一作だそうで、今後は立花併右衛門を頭脳として、柊衛悟が活躍することになるのでしょう。幕府の内部にうごめくもう一つの勢力との戦いが描かれていきます。更にはお決まりの女性も立花併右衛門の娘である瑞紀(みずき)が登場します。柊衛悟の幼馴染でもある瑞紀との仲もどうなるものか、というところでしょうか。

また、第十一代将軍徳川家斉(とくがわいえなり)とその相談役とも言うべき松平定信(まつだいらさだのぶ)、敵役として家斉の父親である一橋治済(ひとつばしはるさだ)などが配置されています。

2013年6月にシリーズ最終巻である第十二巻『決戦』が出版されて完結しているそうで、続けて読んでみたいシリーズがまた増えました。

ちなみに、上田秀人という作家は現役の歯医者さんでもあるそうです。多忙な本業のかたわら、多くの人気シリーズを書かれているのですから見事なものです。更に読み続けたいと思います。

今野 敏 宰領: 隠蔽捜査5

宰領: 隠蔽捜査5宰領: 隠蔽捜査5
(2013/06/28)
今野 敏

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単に論理に従って行動しているだけという主人公竜崎伸也の振舞いは相変わらずです。

ある日、竜崎の幼馴染でもある警視庁の刑事部長である伊丹俊太郎から電話を受けた。衆議院議員の牛丸真造が行方不明になったという。牛丸の秘書で竜崎らの後輩でもある田切勇作は、ことを荒げたくないので極秘に調べて欲しいらしい。それでも、竜崎は国会議員が姿を消したという事実をもとに対策を練るべきと考えて指示を下した。その矢先に牛丸の事務所の車が発見され、車内から運転手の死体が見つかった。

原理原則に基づく竜崎の行動は爽快です。相手の身分や立場によって態度を変えることのないその姿は、現実には難しいがゆえに読者はカタルシスを得るのでしょう。まあ、そういうことは改めで言うまでもないことですが。

本書の特色は、竜崎の新しい衝突先として神奈川県警が設定してあることでしょう。これまでも、他の所轄署であったり、本庁の人間であったりと、様々な人間が最初は竜崎の異色の経歴と変人ぶりに惑わされ、不信感を抱き、距離を置いていたのす。しかし、最終的には竜崎の事件解決に対する真摯な態度に尊敬の念さえ抱くようになってきたのです。

それが、今回は警視庁とは仲の悪いことで知られている、神奈川県警の横須賀署に設けられる捜査本部に副本部長として赴くことになるのです。現実に警視庁と神奈川県警戸が不仲なのかは知りません。でも、小説の世界ではこの両者は仲の悪いことが当然の前提となっているようです。そうした神奈川県警ですので、竜崎に対する態度も飾り物としての扱いしかしません。あとはいつもの展開ではあるのですが、その様がやはり面白いのです。痛快でさえあります。

本書の魅力は、推理小説としての事件の謎ときもさることながら、竜崎をとりまく人間関係そのものや、その変化の面白さにあると思っています。加えて竜崎の家庭内の問題もスパイス的に書き込まれており、家族に対しても同様の態度を取る竜崎の人間描写に厚みを加えています。そうした意味では、黄門さまの物語のようにお定まりのパターンの中で、様々に趣向を凝らして読者を楽しませているのです。

現時点では今野敏のシリーズものの中では本シリーズと『東京湾臨海署安積班』シリーズが一番面白いと思っているのですが、両者共に登場人物の人間模様が魅力になっていると感じます。私の好みがそこらにあるのでしょう。

本作はいつまでも続いて貰いたいシリーズの一つです。

木内 一裕 バードドッグ

バードドッグバードドッグ
(2014/07/30)
木内 一裕

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この作家の作品はどんどん読みやすくなっている感じがします。

本書のシリーズ第一作目『水の中の犬』は別人が主人公で、本書に比べると少々暗いトーンで進行する物語でした。そこでの登場人物の一人だった男がその後の主人公の立場を引き継いだのが元ヤクザ矢能政男を主人公とする本シリーズです。前作の『アウト & アウト』からはコミカルな雰囲気をも漂わせながらも、こわもてのヤクザが主人公らしい暴力的な雰囲気を漂わせています。しかし、第一作のような暗さはなく、どちらかと言えば能天気で、栞との会話が実に微笑ましいのです。

矢能政男は自身の渡世上の親である笹川健三の兄弟分で、日本最大のやくざ組織菱口組の実力者でもあり唯一都内に本部事務所を構える二木善治郎から呼び出しを受けた。二次団体である燦宮会の理事長になる筈だった佐村組組長が行方不明だという。極秘の調査を進める必要があるものの、理事長の座をめぐる内部のごたごたのため内部の者では調査できず、かと言って外部にも漏らせない。そこで矢能のもとに依頼が来たのだった。

悪漢が主人公の小説と言えば大藪春彦や馳星周、楡周平らが思い浮かびます。それらの作品と比べると、本書やこの本の後に読んでいる黒川博行の『疫病神』などをそれらの作品と同様に考えて良いものか若干の疑問が残ります。というのも、本書の主人公は元ヤクザであり主人公が悪(ワル)ではあるのだけれど、その内実は栞という存在を出すまでも無くキャラクターの面白さが勝ったエンタメ小説だと思うからです。

馳星周らの小説は悪と定義される主人公の活躍を通してある種今の社会への抵抗とでも言って良いような主張を感じるのですが、本書はそこまでの背景は感じられません。どちらかと言えば浅田次郎の『きんぴかシリーズ』にも似て、エンタメに徹していると言えそうです。勿論馳星周らの作品もエンターテインメント小説であることには違いはないのですが、読後の印象が異なります。

本書は実に軽く読めます。徹底した強面ではありながら、内面の優しさが表に現れることを潔しとしない矢能の振舞いは読んでいて微笑ましいと感じます。人によってはこの点こそが疵だという人もいるかもしれませんが、私はこのような描写こそが心を掴まれるのです。

この作家は『喧嘩猿』という森の石松らが活躍する侠客ものとも言える面白い作品があります。続編が出ないものか、期待しているのです。

安生 正 ゼロの迎撃

ゼロの迎撃 (「このミス」大賞シリーズ)ゼロの迎撃 (「このミス」大賞シリーズ)
(2014/07/10)
安生 正

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前作の『生存者ゼロ』はパニック小説とても分類できる物語でした。思いもよらない存在による人類に対する危機を未然に防ぐべく感染症学者と陸上自衛官とを中心に活躍する話で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品です。しかし、大賞受賞作ということでハードルを高くして読んだためか、若干期待外れとも言える作品でした。

本作は、日本国憲法9条の解釈及びその解釈に基づく運用が大きく変わろうとしている今の時代背景を見越して書かれたのかもしれませんが、じつにタイムリーな作品と言えると思います。

ある日突然東京の街の真ん中でテロ攻撃が実行され、多数の物的、人的損害が出た。あまりにも虚を突いた攻撃のため、後手に回る政府。防衛庁情報本部情報分析官の真下俊彦三等陸佐は三人の部下と共に正体不明のテロリストに立ち向かう。が、テロリストの緻密な計算の上にたった行動は真下らの読みをも上回り、真下らも後手後手に立たざるを得ないのだった。

前作とは異なってミリタリーサスペンスと言って良いのでしょう。自衛隊の現下の状況を踏まえ、法律論までかなり踏み込んで書かれています。

序盤は正体不明のテロリストに対する政府の姿勢、行動を法律論として展開し、自衛隊出動の法的根拠を探しあぐねる姿が描かれます。その間にもテロリストに対峙している警察は次々と撃破され、死者は増すばかりです。ここで、後に野党らから追及される恐れを考慮し及び腰になる政治家らの姿が描かれるのは、こうした状況を描く小説のいつものパターンだと言っても良いでしょう。本書は法律論の展開がより詳しい点に特色があるかと思います。

そして、主人公に自衛隊の分析官を持ってきているところが新鮮です。ただ、情報分析官が第一線で活躍するわけにはいかないところが弱点で、その代わりとなる部下を配置しているのですが、これはそうしなければならなかった、というところなのでしょう。

テロリストにはテロリストなりの論理があり、それなりの主張が展開されるのが普通ですが、本書ではそうした展開ではなく、ハン大佐という個人の持つ理由を直接の理由としています。冷徹で優秀な軍人であるハン大佐の魅力が本書の見どころの一つと言えるかもしれません。

情報分析官の真下とハン大佐の対決はかなり面白く読むことが出来ました。

個人的には前半の議論の部分は未知の論点もあり、引き込まれて読みました。後半にはアクション満載の展開になるのですが、それはまた前半とは違った展開で手に汗握る面白さがあります。

個人的には前作よりも面白い作品だと思いました。

花村 萬月 弾正星

弾正星弾正星
(2014/07/25)
花村 萬月

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戦国時代を舞台にした小説であれば必ずと言って良いほどに名前が出てくる、悪玉代表とも言えそうな松永弾正久秀を主人公とした小説です。しかし、そこは花村萬月という作者の作品らしく、単なる歴史小説ではなくて、エロスと暴力で彩られています。ただ、まだ数冊しか読んではいないこの作者の作品ですが、他の作品ほどの暴力やエロスはなく、ソフト路線ではあります。

丹野蘭十郎(たんのらんじゅうろう)は三好範長(みよしのりなが)の屋敷で右筆(ゆうひつ)の空きがあると聞き彼の屋敷を訪れる。そこで松永久秀(まつながひさひで)という男に出会い、何故か久秀に気にいられた蘭十郎は久秀の右筆となり、以後の久秀の語り部となるのだった。

全編が蘭十郎の目線で、それも関西弁で語られます。前半は少し冗長かと思いながら読み進めていました。歴史上実在し、その動向もある程度明確な人物を描くとなると、さしもの花村萬月といえども、そのイマジネーションは歴史的事実という枠をはめられるのかとも思っていました。

しかし、次第に「茶の湯とは無価値のものに途轍もない価値を付ける道具商売」だと言い切り、「価値とはもっともらしい嘘」などと言う花村満月の作りだす悪人久秀像に次第に引き込まれていきます。エロスと暴力の世界を良く言われますが、この作者の描く人間はどこかエキセントリックでありながらも、妖しげに魅力を持っていると感じてしまうのです。

語り部たる蘭十郎も次第に久秀の考え方を理解していきます。その間の二人の在りようの描き方が、実にこの作家ならではの、「掛け合い」なのです。極端に言えばこの作品は久秀と蘭十郎との会話で成り立っています。普通の時代小説とは異なり、久秀の出世の状況などはあまり語られません。いや、説明してはるのですが、時代背景説明の中でさらりとふれられているだけなのです。

しかし、後半から終盤に差し掛かり織田信長の名前が見えてくるあたりから物語の動きが大きくなります。特に弾正久秀、蘭十郎と織田信長が対面する場面の緊迫感はさすがです。殆どを弟蘭十郎にしゃべらせる久秀でしたが、信長の「主家を裏切っても臆せず、将軍を弑しても悪びれずに泰然としていられるのは何故か。」との直接の問いに対して「我も人。三好長慶も人。将軍義輝も人。」と一言で答えます。続けて「ではこの信長も」と問う信長に対し、「人」と答える場面は圧巻でした。

そのすぐ後でのこの作者らしくひとしきりの濡れ場の後、蘭十郎とその妻まさ音とで久秀のところへ出かけての場面も同様で、男と女、夫婦、ひとと人との繋がりなど、思わず引き込まれてしまうひと舞台でした。

蛇足ながら、その終盤での久秀と欄十郎との会話。「いつのまにやら死ぬいうことが、他人事ではない歳になってしまいました。ついこないだまでは死ぬいうことがどこか他人事やったんですわ。ところが他人事でも余所事(よそごと)でもおまへん。」というなんでもない言葉が、じっくりと身に沁みる、そうした年齢に自分がいるということを思い知らされ、先に逝ってしまった仲間を想ったりしてしまいました。

帯に直木賞作家の桜木紫乃氏の「とんがって、とんがって、まだ尖り続ける花村満月美学の最先端。悪とエロス、全ての男と女におくる魂の物語。」との言葉がありました。

どこまでが真実でどこからが花村氏の作りだした虚構なのかは良く分かりません。でも、信長でさえも一目置いたと表現される松永久秀という人物が、私の中で、これまでの戦国時代の悪者という扱いからそれなりの人物として認識するようになったのは間違いありません。

真保 裕一 連鎖

連鎖 (講談社文庫)連鎖 (講談社文庫)
(1994/07/07)
真保 裕一

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物語の舞台背景としてあるのは「食」の問題です。1986年4月に起きたチェルノブイリ原発事故による放射能汚染問題が絡んでいます。出版年も1994年ですから今からちょうど20年ほど前の作品で、第37回江戸川乱歩賞を受賞しています。

元食品Gメンであった過去を持つ検疫官の羽川は、親友であるフリーライター竹脇が自殺を図ったという連絡を受け、竹脇の自殺の原因を作ったのは竹脇の妻と不倫関係に陥った自分なのだろうと煩悶していた。同じ頃、羽川は倉庫に農薬を撒かれたファミリーレストランに調査に行くが、肉の検査をしようとしても店の拒否にあい、何もできないでいた。しかし、その裏を調べていくうちに、竹脇も同じ筋の事件を追いかけていたらしく、あちこちで竹脇の名前にぶつかるのだった。

とにかく輸入食品のその後の流れについて良く調べられており、一般国民の全く知らないところでの食の流通の裏面を描き出してあります。本書は直接的には「輸入食品」の問題なのですが、本書の時代背景にはチェルノブイリ原発事故による放射の汚染食品の問題があり、2011年の東日本大震災を経験した現代(2014年)の私達にとって、近年の食品偽装問題を持ち出すまでも無く見過ごすことのできないテーマを含んでいます。

「食」の流通の問題と言えば相場英雄の『震える牛』があります。そちらは食肉の流通に絡めた刑事ものの推理小説であり、ある刑事の執念が描かれていました。本書は推理小説というよりは冒険小説に近い趣を持っています。輸入食物の流通の裏面を追求していく羽川の行動に焦点が当たり、その内面の描写がなかなかに面白いのです。少々色々なことを盛り込み過ぎと感じないでもありませんが、十分な調査をもとにして緻密に書き込まれたその文章は魅力的です。

真保裕一と言えば『ホワイトアウト』という、我が国の冒険小説の名作がありますが、本書はこの著者のデビュー作だそうで、第三十七回江戸川乱歩賞を受賞しています。

笹本 稜平 逆流 越境捜査

逆流 越境捜査逆流 越境捜査
(2014/03/19)
笹本 稜平

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警視庁刑事部捜査一課特命二係に属する鷺沼友哉(さぎぬまともや)は病院のベッドの上で眼を覚ました。傍には上司である二係の係長三好章(みよしあきら)と相方の井上拓海(いのうえたくみ)巡査、それに神奈川県警の嫌われ者の万年巡査部長である宮野裕之(みやのひろゆき)がいた。鷺沼は次第に自分のマンションの外階段で見知らぬ男に刺されたことを思い出す。何故自分が狙われたのか不明なままであったが、宮野は鷺沼の抱えている荒川河川敷で発見された白骨死体の捜査と、宮野自身が聞きこんだ殺人事件の端緒らしき事案との関連を疑う。それは小暮孝則という現職の参議院議員が持っていた家屋に絡んでくるかもしれないという、雲を掴むような事柄ではあったが、白骨死体の捜査が進む中、宮野の言葉が現実味を帯びて来るのだった。

本書は「越境捜査シリーズ」の四冊目の物語です。シリーズ一冊目の『越境捜査』は神奈川県警と警視庁の軋轢の中、鷺沼や宮野たちが単独で事件解明に走り回る、という舞台設定も面白く、物語もシリアスで結構面白い作品でした。 しかし、本書はその思いからするとかなり期待とは違った印象でした。

冒頭から鷺沼が刺されてしまう、という導入は良いのですが、そのためか当然鷺沼は現実にはあまり動き回れません。井上や宮野たちの持ってくる情報から全体像を推理することがメインになります。結局、本書の舞台は鷺沼のいる場所のみに限定され、空間的な広がりはほとんど感じられませんでした。

物語も十年前という時間の壁を設けて、立証を困難にする、そのことは良いのですが、どうしても事件解明に少しずつ無理を感じてしまうのです。

この作者の「天空への回廊」「未踏峰」「春を背負って」などの迫力のある読み応えのある作品を読んだ後なので、とても辛口に読んでいるのかもしれませんが、少々残念な読後感でした。

この作者であればもう少し、スケールの大きな物語展開を期待していただけに、アームチェア・ディテクティブとまでは言わないまでも、少々小じんまりとした印象は残念な物語でした。

樋口 明雄 約束の地

約束の地〈上〉 (光文社文庫)約束の地〈上〉 (光文社文庫)
(2011/11/10)
樋口 明雄

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約束の地〈下〉 (光文社文庫)約束の地〈下〉 (光文社文庫)
(2011/11/10)
樋口 明雄

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かなり骨太の、いくつもの物語が書けるような、多くの物語の要素を持った贅沢な小説です。

人里近くでの傍若無人な行いをするハンターに注意をしたとあるペンションのオーナーが、娘の眼の前で射殺されるところから物語の幕が開きます。

十数年後、環境省エリート役人である七倉は一人娘と共に野生動物被害を調査し対応する公的機関である「野生鳥獣保全管理センター」の八ヶ岳支所に出向となり、赴任してきた。そこには古参の猟師であった戸部や黒崎を始め、峰と新海という犬のハンドラー(訓練士)やハンドラーのトレーナーであるクレイグ、女性動物学者の神永麻耶など古瀬的な面々が揃っていた。

近年野生動物による農作物の被害は甚大なものになっていたが、加えて熊による人的な被害も起きていた。そうした折、「稲妻」と呼ばれる巨大熊により人が食い殺されるという事件が起きる。農民の声を背景に害獣の殺傷処分に走ろうとする狩猟会、それに反対する動物愛護団体。七倉は住民たちの調整に奔走するが、更なる怪物「三本足」の登場など、事態は悪化の道をたどっていく。

本書は自然と人間との共存を主題にして、環境汚染やハンターや猟師の問題、それに対する国、地方公共団体の施策、更には家族の在り方など、様々な問題をテーマとして持っています。小説としては冒険小説としての要素もあり、ミステリーでもあって実に贅沢な小説です。大藪春彦賞と日本冒険小説協会大賞を受賞しているのも十分に納得できる物語です。

犬が好きな人にとってはベアドッグという存在について書いてある点も興味が持てるでしょう。猟師が率いる対象の動物をかみ殺すことが目的の狩猟犬とは異なり、熊を相手として追い払うように訓練を受けている犬のことです。そこには害獣の殺処分とは異なる発想があります。人と犬との物語が十分に堪能できます。

動物好きの人には戸部や黒崎といった昔からの猟師らの行い、言葉に胸を打たれることでしょう。ミステリー好きの人にはまたそれなりの舞台が用意されています。更には七倉の一人娘羽純のうけるいじめのことなど、様々の要素が盛り込まれた物語なのです。

ひと昔前に「里山」の荒廃ということがしきりに言われていました。開発により「里山」が失われていくことは単にその土地の自然の破壊という問題を越えて、いろいろな動物の生活環境を壊すことであり、それはその「里山」だけの問題にとどまらず、広範囲に影響を及ぼすものだ、というのです。そうした言葉は現在ではほとんど聞かれませんが、本書を読んで改めて当時言われていたことを思い出しました。

著者による「あとがき」を読むと、冒頭のハンターによるペンションオーナーの殺害事件は、ハンターへの抗議という事実は著者の実体験だと書いてありました。また、本書に出てくるベアドッグの「ダン」も著者の愛犬の名前だそうで、人と犬との物語もまた著者の実体験が反映しているのでしょう。

終盤に「人の生き死にと関係ないところに自然はあり、絶え間なく季節だけがめぐるのである。」という言葉がありました。何ということはない普通の文章なのですが、妙に心に残りました。本書はこの一行に要約される、そういう気がします。

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(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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