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有川 浩 ストーリー・セラー


今なお、一日か二日に一度、震度2程の余震が続いています。気を抜いているときにドンッと来ると、あい変らず「驚愕」と言っていいほどに驚いています。

加えてわが郷土熊本は、ここのところ地震に加えて雨にまでたたかれています。夜中の雨と雷はとても寝ていられません。未だに屋根は応急処置のままの我が家ですから、いつ雨漏りが始まるかにもおびえている毎日です。

さて本書。ちょっと遊び心の入った、しかしながら決して面白いとは言いたくない、私の好みとは離れたところにある、二編の中編小説で構成されるラブストーリーです。

小説家と、彼女を支える夫を襲ったあまりにも過酷な運命。極限の決断を求められた彼女は、今まで最高の読者でいてくれた夫のために、物語を紡ぎ続けた―。極上のラブ・ストーリー。「Story Seller」に発表された「Side:A」に、単行本のために書き下ろされた「Side:B」を加えた完全版。(「BOOK」データベースより)

どちらの物語にしても有川浩という達者の作者の作品らしく実に読みやすく、物語はテンポよく進みます。ただ、内容が暗い。それも、特に最初の物語「Side:A」の話の介護の問題も絡めながらの主人公の悲惨な状況は、私の現実に重なるところもあって、読みにくい、というか受け入れたくない物語ではありました。

勿論「Side:B」も似たような陰鬱さを持っており、読書に「楽しみ、幸せな時間」を求めている私には受け入れがたい作品でした。

読者によっては、悲恋に終わるラブストーリーで涙を流しカタルシスを得る、という読み方をする方もおられるとは思います。それは個人の嗜好の問題であり、そうした読み方を否定するつもりは勿論ありません。本作品は、そうした読み方が好みの方には、語弊はありますが「面白い作品」と言えるでしょう。

あくまで私の好みに合わないのです。ラブストーリー自体があまり好みではないのですが、雫井脩介の『クローズド・ノート』などは私が読んでも面白い作品だったところからすると、ラブストーリーだからというのではなく、やはり作品ごとの相性の問題だと思います。

この作品は更に読者を惑わせる仕掛けがあり、その仕掛けについての評価も分かれるところかもしれません。

この仕掛けにしても、この仕掛けで作者は何を言いたかったのかが結局分からず、微妙な違和感の残る読後感になってしまいました。この読者の「惑い」こそが作者の狙いだったのかもしれませんが、それにしても「惑い」の対象範囲を限定してほしかったとは思います。

有川浩のテクニックが走り過ぎたと思えるラブストーリーでした。

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このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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