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伊東 潤 黎明に起つ

黎明に起つ黎明に起つ
(2013/10/24)
伊東 潤

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北条早雲の幼少期から応仁の乱を経て、関東に覇を唱えるまでの一代記です。

読者が知っている歴史的事実の隙間を「ドラマティックに埋めていく」のが歴史小説だとどこかで書いてありました。膨大な資料をを咀嚼し、イメージを膨らませて再構築する、という大変な作業に成功しているかどうかは読者の判断にゆだねられるのでしょうが、色々な書評や一般読者の感想によるとかなり好評価のようです。

作者の公式サイトに、作者の言葉として「歴史小説は、史実に忠実であることが大前提」で、「最も大事なことは、面白いかどうかなのです。」とありました。

本書では早雲のことを「宗瑞」と読んでいるのも史実に即した処置だと「おわりに」という一文に書いてありました。また、早雲の関東制圧の大義を「民のため」と設定したことも、その大義は「二代氏綱が民に対する布告にのみ使った印判の文字『祿壽應穩(ろくじゅおういん)』に込められてい」て、「『祿壽應穩』とは、『禄(財産)と寿(生命)は応(まさ)に穏やかなるべし』の意で、早雲と氏綱が領国の民に向かって、いかなる施政方針で臨むかを宣言したものです。」と、根拠を示してありました。

しかし、こういう大きな骨格となる事実は別として、歴史的事実を詳細に記してある歴史小説は個人的には今一つ感情移入できないようです。海道龍一朗の「禁中御庭者綺譚 乱世疾走」他でも同じことを書きましたが、歴史的事実の間隙を埋めている筈の作者の想像力が、事実のつなぎのように思えてくるのです。名も知らない応仁の乱当時の武将の、武蔵や小田原付近の城の攻防の状況を緻密に書かれていても頭に入りません。私のように物語のストーリーをこそ楽しむ人間には向かないようなのです。

この作者の他の本を読んでいないのではっきりとは言えませんが、結局作者の言う「面白い」の捉え方が私とは少々違っていたということだと思います。

でも、歴史が好きで、文章を読み込む人たちにとっては、これだけ情報が多く、その上作者の解釈による早雲の人物像が描かれている小説は多分大変面白い小説ではないでしょうか。

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No title

歴史小説については、以前友達とも話した事があります。
事実を忠実に表現するのか、作者の主観でとらえるのかでは全然違うと思います。
歴史を深く知る人は、あまりにも作者の主観が入ると事実からそれてるのではないかと思うらしいです。
私も、どちらかというとストーリーで本を読む方なので・・・
やはり、作者の独特なとらえ方に興味を持つようです。
まあ~あくまでも歴史小説ですので事実から逸脱してはいけないと思いますが。


論外な話ですけど・・・
もともと、私は歴史上の人物をよく知らないのですが、最近難しい名前は何度聞いても忘れますv-292

Re: No title

> 歴史を深く知る人は、あまりにも作者の主観が入ると事実からそれてるのではないかと思うらしいです。

色々な感想を読んでいると、確かにそういう人もいるようです。
結局は個人の好みの問題ということになるのでしょうね。

> まあ~あくまでも歴史小説ですので事実から逸脱してはいけないと思いますが。

ファンタジーとなればそれも許されるのではないかと思うけど、「歴史小説」という以上はそうなのでしょう。

> もともと、私は歴史上の人物をよく知らないのですが、最近難しい名前は何度聞いても忘れます

それはまあ、歳ということで。
お互いに。
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