FC2ブログ

杉本 章子 おすず ― 信太郎人情始末帖

おすず―信太郎人情始末帖 (文春文庫)おすず―信太郎人情始末帖 (文春文庫)
(2003/09)
杉本 章子

商品詳細を見る

主人公の信太郎は呉服太物店の跡継ぎであったが、引手茶屋千歳屋の内儀おぬいと深い仲になったことから、許嫁のおすずとは破談になり、内証とはいえ親からも勘当されてしまっていた。そのおすずが信太郎に会いたいと言ってきた。別な人に嫁ぐ前に一度だけ抱いてほしいという。それを断った信太郎だったが、おすずはその後押し入った賊に犯され自害して果ててしまう。おすずの死は自分のせいだと自分を責める信太郎だった。

表題作の「おすず」はこのようにして幕を開けます。他に「屋根船のなか」「かくし子」「黒札の女」「差しがね」の併せて五編が収められている連作短編集です。

捕物帳であり、信太郎の活躍で謎を解決するのですが、信太郎はおぬいの伯父である久右衛門が金銭の元締めをしている芝居小屋の河原崎座で久右衛門の手伝いをしているため、自由に出歩くことはできません。久右衛門の顔色を見ながら、気になった事柄について探索したりもしますが、大体は気付いたことについて幼馴染で岡っ引の手下をしている元吉に話して調べてもらうのです。

でも、捕物帳というよりは信太郎やその想い人であるおぬい達の人情話というべきでしょう。各短編共おぬいや信太郎の身近な人に降りかかった災難を、ほんの少しの違和感から事件の裏を読み解き解決するのですが、信太郎は何時もおすずに対する責や、おぬいに対する中途半端な自分という不実さを感じています。そうした信太郎を取り巻く世界が丁寧に描写されているのです。更には、舞台が芝居小屋絡みということもあり、何とも小粋な雰囲気が漂っていて、物語の世界に奥行きを与えているようです。

どうもこのシリーズはこの後信太郎とおぬいを中心として大きく展開していく様子です。宇江佐真理の髪結い伊三次捕物余話シリーズを思い出させます。早く次を読みたいと思わせられる本です。

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

siro

Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR