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高田 郁 ふるさと銀河線 軌道春秋

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(2013/11/14)
高田 郁

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コミック版 ふるさと銀河線 軌道春秋コミック版 ふるさと銀河線 軌道春秋
(2013/12/21)
深沢 かすみ

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高田郁には珍しい、現代小説の短編集でした。

もともとは川富士立夏(かわふじ りっか)というペンネームで高田郁が原作を、深沢かすみという人が作画を担当して連載された漫画だったのだそうです。それを小説化したものだと「あとがき」に書いてありました。

現代小説とはいえ、高田郁の文章です。決して荒げることなく、ただひたすらに、ひたすらに登場人物の心の内を見つめるような、そんな語りかけが心に染み入ります。

ですが、冒頭の「お弁当ふたつ」という作品には、言葉は悪いですが、ほんの少しのあざとさを感じてしまいました。仕事の無い夫と妻のやり取りですが、ラストシーンの二人の先に「感動」を置いているような、そんな印象です。

でも次の有川浩の「阪急電車」を思い出す「車窓家族」で若干落ち着きを取り戻し、「ムシヤシナイ」からは飾らない高田郁の印象が戻ってきました。

しかし、中には今の私には少々重過ぎると思わざるを得ない作品もありました。「晩夏光」で語られる「老い」や、「幸福が遠すぎたら」での「病」という言葉は若いうちは客観的に捉える事は出来るかもしれませんが、その言葉を自らが抱えるようになると、高田郁の文章が上手いだけに心の奥深くに入り込み、そして普段は隠している自分の不安な思いを引っ張り出してしまうのです。そうなると、感傷などという言葉では語ることのできない、不安定さを抱え込むことになります。

でも、これは読み手の問題ですね。

蛇足ながら、「幸福が遠すぎたら」の最後に記されている寺山修司の詩が懐かしいです。
 この盃を受けてくれ
 どうぞなみなみつがしておくれ
 花に嵐のたとえもあるさ
 さよならだけが人生だ
という井伏鱒二の名訳を受けて書かれたと言われる詩です。この詩を受けて寺山修二は「さよならだけが人生ならば 人生なんかいりません」と詠ったのです。ちなみに、上の詩は、分かれが待つ人生だから今この時を大事に、との意味だそうです。若かりし頃に聞かされました。

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深夜になる

すごい、ねます。
頭が下がります。

No title

寺山修二そのものが青春でしたね~
去年、東京で寺山修二展があってたんで真剣に行こうかと思ってるうちに終わってしまいました。

昔は思ってもみなかったのですが
「老い」「別れ」・・・いずれ・・・いや何時来てもおかしくない歳になってきました。
だからこそ、今分かりますね~「別れを待つ人生だから、今を大切に!」とv-392


人から貰って本棚にいっぱいだった本も全て読み終わりました。
と言っても、大した数ではありませんがv-410
何か買おうかと思ってますが、単行本だとしたら何が読みたいですか?
あくまでも、参考までにi-235

Re: No title

> 「老い」「別れ」・・・いずれ・・・いや何時来てもおかしくない歳になってきました。
> だからこそ、今分かりますね~「別れを待つ人生だから、今を大切に!」とv-392

「今」を大切に、とは痛切に思う、けど、ついつい惰性に流されてしまう、んだよね、これが。

> 何か買おうかと思ってますが、単行本だとしたら何が読みたいですか?

一度「壬生義士伝」を読んでみたら?
文庫本だけど。
賛否あるかも。
だけど、一度は読んでみてもいいんじゃないでしょうか。

それか、朝井まかての「恋歌」は?
この頃の高田郁作品も心に残るよ。
上記の各作品は勿論私が読んだから言うのだけど。
未読の本は直ぐには出て来ません。
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Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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