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浅田 次郎 地下鉄(メトロ)に乗って

地下鉄に乗って (講談社文庫)地下鉄に乗って (講談社文庫)
(1999/12/01)
浅田 次郎

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地下鉄(メトロ)に乗って―特別版地下鉄(メトロ)に乗って―特別版
(2006/07)
浅田 次郎

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主人公の小沼信次が恋人のみち子と共に、ときには別々に過去へタイムスリップし、小沼信次の父親の生き様を知る、という物語です。これだけのまとめでは何の内容も伝わりませんが、詳しく内容を書くとそれはネタバレに近いものになるので止めておきます。

これまで読んできたこの作家の作品で感じた人情味にあふれた文章で、主人公とその恋人のことが語られるのですが、過去に戻るたびに少しずつ、父親の真実が見えてきます。常に反発しか感じてこなかった父の実像に迫っていくときに主人公が感じる思いは複雑です。

先に映画を見ていたので、映画の印象を持って読み始めたのですが、やはり原作はまた違っていました。筋立ては確かにそれほど外れているわけではありません。その意味では良く作ってありました。 しかし、映画から受けた印象は主人公の小沼信次と父親の小沼佐吉との物語という印象だったのです。しかし、原作は主人公と恋人のみち子との物語こそ本筋だと感じました。

ところが、「『地下鉄(メトロ)に乗って』縁起」と題されたあとがき風のエッセイがあるのですが、これを読んだ後でまたこの小説の印象が変わりました。その内容を書いて良いものかどうか迷ったのですが、一言だけ記しておきます。この物語は浅田次郎の私小説に近いものだということです。

詳しいことは実際に読んで、夫々に感じてもらいたいものです。ただ、このエッセイが文庫版にも収録されているのかが確認できませんでした。「特別版」にだけ収録されているのかもしれません。

この作家の作品を読めば読むほどに引き込まれていきます。暫くはこの作家の作品を追い続けてみたいと思っています。

蛇足ですが、みち子のアパートの場所である地下鉄丸ノ内線の中野富士見町のひとつ前の駅が中野新橋です。当時バイトの先の新宿に出るための数十円の電車賃さえもない学生だった私は、この駅を降りて数分のところにあるアパートに半年間ほど住んでいました。西日しか当たらない、共同炊事場、共同便所の四畳半でした。懐かしい地名を聞いて驚きました。

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方南町

 浅田作品の「ポッポや、鉄道員」「壬生義士伝」そしておすすめの「輪違屋糸里」を読み進めていてすごい作家と感じています。

 中野周辺の地形はアップダウンがあるので変化が楽しめます。先日旅行の仕事先は方南町に近い場所のお客様です。

 両親は戦前東中野の日本閣で結婚式を挙げています。
今はその日本閣は無くなっているようです。

 私は教会で結婚式を挙げ、新婚旅行は伊豆半島に行きました。昭和42年5月です。

Re: 方南町

>  浅田作品の「ポッポや、鉄道員」「壬生義士伝」そしておすすめの「輪違屋糸里」を読み進めていてすごい作家と感じています。

面白い作品を書く作家さんですね。
読めば読むほどに引き込まれています。

No title

あれ?「地下鉄(メトロ)に乗って」の本は回さなかったですか?

私も読みましたよ~もちろん映画も観ました。
感動作品でした!
じんわりきますv-408

Re: No title

> あれ?「地下鉄(メトロ)に乗って」の本は回さなかったですか?

はい。
来てません。
「特別版」だったのかな。
ここを見逃すとちょっとおしい。

> 私も読みましたよ~もちろん映画も観ました。
> 感動作品でした!
> じんわりきますv-408

同感です。
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(こちらです⇒読んだ屋
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