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ギャビン・ライアル 深夜プラス1

深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))
(1976/04)
ギャビン・ライアル

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もう四十年近くも前に内藤陳というコメディアンが、絶対に面白い、と言っていたので読んでみた本です。それが1970年代だと思っていたのだけれど、彼が設立した「日本冒険小説協会」が1991年に設立されているところからすると1990年代に入ってから読んだのでしょうか。いや、1990年代にはなってはいなった筈です。

物語はフランス西岸のブルターニュからスイスとオーストリアの中間にあるリヒテンシュタインという小さな国まで、マガンハルトという実業家を運ぶだけのことです。一行は主人公の「カントン」ことルイス・ケインとマガンハルトと秘書のヘレン・ジャーマン、それに凄腕のガンマンであるハーヴェイ・ロヴェルの四人。

問題はマガンハルトは婦女暴行の疑いでフランス警察に追われており、更には彼の事業に絡む事柄から正体不明の敵からも狙われているということであり、もう一点はヨーロッパでもベスト3の腕を持つと言われるハーヴェイ・ロヴェルがアル中だということなのです。

解説の田中光二が、本書が人気があるのは「登場人物象の実在感」にある、と書いていますが、その通りだと思われます。この文言は、人気の冒険ミステリ小説全般に言える事柄として書かれているのですが、本書にも勿論該当します。

第二次世界大戦中のイギリスの諜報員であり、フランスレジスタンスと共同して工作を行っていたという過去を持つ主人公のルイス・ケインや、人としての優しさ故に殺人の重圧からの逃避として酒を飲んでしまうハーヴェイ・ロヴェルなど、実に魅力的です。共に自分の生き方に矜持を持つ男であり、ハードボイルドとしての魅力をも持っている本書です。

二人が初めて会ったときの、ルイス・ケインがハーヴェイ・ロヴェルの銃を手に取った時の二人のやり取りなど、普通の会話の中にプロだからこその台詞があったり、プロだからこその行動が描写されていたりと、小さな事柄の積み重ねが物語の厚みを作りだしています。

更には、ルイス・ケインとハーヴェイ・ロヴェルとのモーゼル銃についての会話に見られるように、銃や車についてのうんちくも随所に出てきます。こうした事柄は、面白いと言われる冒険小説はどれも備えている事柄ではありますが、本書も例外ではなく、全編を貫くアクションに深みを添えているようです。

久しぶりに読みましたが、やはり面白い小説でした。

当時、この本を読んだ後に「ちがった空」などを始めとして数冊を読んでいるのですが、「マキシム少佐の指揮」だったかを読んで少々違和感を感じてから遠ざかったと記憶しています。何が合わなかったのでしょう。近いうちにまた読んでみたいものです。

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ヨーロッパ

 桜が散りそう、風が強い。
今回の本はヨーロッパ、アメリカの本は読みました。
何年か前に北欧発信の本も読みました。

外国の本は登場人物の名前覚えに手間取ります。
日本の作家が外国の三国志など書いています。
さほど違和感がありませんが、さすがにヨーロッパ舞台にしたロミオとジュリエット本は書けないでしょう。

宝塚歌劇団はヨーロッパ人になりきって演技しています。
でも、ヨーロッパ人が赤穂浪士を演じられてもね。

外国人力士は慣れましたけれども。
何を云おうとしているのか意味不明?

Re: ヨーロッパ

>  桜が散りそう、風が強い。

我が地方ではもう既に散ってます。

> 外国の本は登場人物の名前覚えに手間取ります。
> 日本の作家が外国の三国志など書いています。
> さほど違和感がありませんが、さすがにヨーロッパ舞台にしたロミオとジュリエット本は書けないでしょう。

でも、船戸与一の本などは、主人公は日本人でも舞台は外国だし、登場人物の殆どは外国人だったりしますよ。それも素晴らしく面白い作品です。

> 宝塚歌劇団はヨーロッパ人になりきって演技しています。
> でも、ヨーロッパ人が赤穂浪士を演じられてもね。

それはかなり無理でしょうね。

> 何を云おうとしているのか意味不明?

若干。
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