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笹本 稜平 春を背負って

春を背負って (文春文庫)春を背負って (文春文庫)
(2014/03/07)
笹本 稜平

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山小屋を舞台にした実に感動的な人間ドラマが繰り広げられる連作短編集です。「春を背負って」「花泥棒」「野晒し」「小屋仕舞い」「疑似好天」「荷揚げ日和」の六篇から成ります。

事故で死んだ父が残した山小屋を継ごうと決心した主人公長嶺亨が、父親の後輩である自由人ゴロさんと共にこの山小屋を盛りたてていくお話です。この山小屋に様々の人が訪れ、夫々のドラマを展開していきます。この設定自体はありがちなのですが、作者の筆の力は良質な物語を提供してくれています。

山を舞台にした物語は名作が色々ありますが、どうして感動的なドラマの舞台になりやすいのでしょうか。山を歩くそのこと自体が自然と直接に向かい合う行為で非日常なのですが、その自然が一旦牙をむくと死と直面せざるを得ない状況に陥ります。そうした山という自然と人間とが緊張感を生み、人間ドラマが生まれやすいのでしょうか。

でも、山を知らないと自然と人間とを描写することはできないでしょうから、笹本稜平という作家さんは山を良く知っているのでしょうね。山での人の生活や自然の描写は見事であり、作品の奥行きがとても深く感じられます。

この作家さんには他にも山を舞台にした作品があり、かなり評判が高いようです。早速読んでみたいと思います。

山を舞台にした小説と言えば新田次郎の作品がありますが、直接に人間と山との物語を語る新田次郎に対し、笹本稜平の作品は山を舞台にした人間ドラマが中心だと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、先日数巻だけですが「岳物語」というコミックを読みました。「岳物語」も山小屋が舞台になっていて、そこを訪れる人たちとのドラマが展開されるのです。この漫画の人気があるのも納得できる、実に感動的な作品でした。本作品を読んでいて、その漫画を思い出しました。

また、本作品は「劔岳 点の記」を撮った木村大作監督により映画化されるそうです。松山ケンイチが主人公で豊川悦司、蒼井優らが脇を支えるそうです。こちらもまた面白そうで期待したいです。

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