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東野 圭吾 真夏の方程式

真夏の方程式 (文春文庫)真夏の方程式 (文春文庫)
(2013/05/10)
東野 圭吾

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やはり、さすが東野圭吾という作品でした。この作家さんにたまに見られる少々強引な設定という感じもあったけど、でも、やはりこの人の作品は一級の面白さがあります。ガリレオシリーズ第6弾です。

海の美しい玻璃ヶ浦での開発の話が持ち上がった。学者としての意見を求められ現場に参加する湯川だったが、行きの列車で偶然一緒になった恭平少年と同じ宿に泊まることにした。ところが、翌日同じ宿に泊まり合わせた宿泊客が死体で見つかった。事故として片付けられようとした事件だったが、亡くなった人物が元警官であることが判明し、身元確認のために来る夫人に同行してきた警視庁の管理官はそこに事件性を見出すのだった。

恭平と湯川が泊まったこの宿は、恭平の伯母一家の経営する旅館で、玻璃ヶ浦自体がさびれていくのに伴い老朽化している旅館でした。その旅館で、恭平少年に湯川が物理学の面白さ、学問の面白さを少しずつ説いていき、恭平が、わずかずつ湯川に心を開いて行く過程が描写されています。この二人の関係が謎解きとは異なる本書のもう一つの見どころになっていて、事件の背景のせつなさに一つの救いを与えているようです。

このシリーズにしては珍しく湯川の方から事件の背景の調査を依頼します。その折に何時ものことながら草薙刑事との掛け合いもあるのですが、今回は草薙の方からの捜査依頼ではないので、この二人の会話も草薙の報告という形で終始します。

何となくこのシリーズの感じがこれまでと異なるのは、やはり、本作品が恭平少年を軸に据えた描写になっているからのようです。結論にしても、恭平少年の存在があればこそ、としか考えられず、通常であれば違った結論になるのではないかと思われます。

この作家の作品はその殆どを読んでいるのですが、いかにも近年の作品らしく、人間ドラマを中心に据えた読み応えのある作品に仕上がっています。

結論のあり方に関しては異論も少なからずあるようですが、小説としての面白さはさすがのものです。いつものことながら、それなりの水準の作品を発表し続けるその力量にはただ脱帽するばかりです。

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