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荻原 浩 オイアウエ漂流記

オイアウエ漂流記 (新潮文庫)オイアウエ漂流記 (新潮文庫)
(2012/01/28)
荻原 浩

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読み始めは何となく展開がまどろっこしく、面白さとしては今一つなのかと思いつつ読み進めていたのですが、しかし、実際サバイバル生活に入った頃から俄然面白くなってきました。

ネットでユーモア小説を調べると荻原浩という名前が随所で見かけられましたので、機会があれば読んでみたい作家さんでした。この作家の作品は初めて読んだのですが、この作品を読む限りでは他の作品もそれなりに読み応えがありそうと思えるような、そんな作品でした。

南太平洋の小さな島に辿り着いた10人の遭難者達のサバイバル生活が、ユーモアたっぷりの文章で描かれています。子供の頃「十五少年漂流記」を読んで以来の漂流記ものではないでしょうか。でも「十五少年漂流記」が少年たちを主人公にした冒険小説だったのに対し、本作品は南の小島での日常が描かれているにすぎません。海賊も、悪漢も現れません。ひたすらその一日を生きるのです。

でも、その一日を生きるその姿が読ませます。水を確保するその方法、火のおこし方、トイレの確保等々、サバイバル生活に必要な知識がこれでもかと詰め込まれています。

そして、遭難者同士の実社会での力関係が遭難後でも微妙な関係性を保ちつつ生きていたり、恋人や夫婦(になろうとする者)の関係性の変化など、ネタにはつきないようです。

かつて南の島で戦争をした経験を持つじいちゃんを配することで基本的なサバイバルの知識を持たせたりと、まずは生きていく上での基本は確保したうえで、「生きる」ということに特化して人間関係を絡めたドラマ作りが為されているのです。

それにしても、作家という人種はそのイマジネーションと共に調査力も素晴らしいものがあることは、様々の作品を読むごとに感じさせられます。本作品はまたイマジネーションもさることながら、南の無人島での生活そのものが未知の領域で、調べることは山ほどありそうです。南の魚や動物の生態などはもちろんのこと、極端なことを言えば南の島の砂浜を歩く、そのことから普通とは異なる可能性があるのですから大変です。その大変な作業をこなし、読者に納得させるのですから見事なものです。その上、作家としての力量は当然前提とされるのですから。

そうした様々の要素の上に成り立っているのこ作品は、やはり面白いです。冒険小説や推理小説のような刺激的な展開はありませんが、それでもなおユーモアを抱えながらの意外な物語の展開は読者を引きつけてくれます。

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6/25

 仕事で今日から4日間家をあける、早く目も覚める。

昨日警察から電話があってオレオレ詐欺の注意喚起電話でした。
詐欺をする連中も、警察も、電話番号をどの様に調べ上げるのかな。

詐欺師もイマジネーションって大きなものがありそう、でも許せない。
詐欺にあうことは不愉快。

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Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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