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辻堂 魁 雷神 風の市兵衛

雷神 風の市兵衛 (祥伝社文庫)雷神 風の市兵衛 (祥伝社文庫)
(2010/07/23)
辻堂 魁

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「風の市兵衛」シリーズの二作目です。前作の面白さを維持したままなのか若干不安な気持ちで読み始めましたが、残念ながら、前作程では無かったかな、と思ってしまいました。

今回は、内藤新宿の磐栄屋(いわさかや)という呉服太物問屋を舞台としています。この磐栄屋が何かと問題に見舞われているのです。というのも、店の主人が暴漢に襲われるし、跡継ぎである息子は仕入れ先の武州で古参の手代と共に山中で盗賊に襲われて落命したというのです。店主が寝込んではいても仕入れはしなければならない。そこで死んだ息子の代わりに妹のお絹が代わって仕入れに行くことになります。そのために腕が立ち算盤もできる者を探しているという話を、請け人宿の宰領屋(口入屋)から聞いて主人公の市兵衛が登場するわけです。ただ、磐栄屋の災難は麹町に店を構える呉服店の岸屋が糸を引いていると言われており、地元新宿の大黒屋重五というやくざを手先として嫌がらせを仕かけていたのです。

読了後「あとがき」を読んでみると、文芸評論家の縄田一男氏が私の感想とは真逆に、「本書は、一作目の二倍は面白い」と書いてありました。

確かに、本書は磐栄屋の主人の人となりに結構焦点を当てていたり、他方では市兵衛を宰領屋から磐栄屋へと案内する羽目になった小僧の丸平(がんぺい)がこまっちゃくれてはいるが憎めない小僧として描かれていたりと、市兵衛だけではない登場人物への配慮が一作目よりも更に為されているようです。

しかし、その点が市兵衛が一歩引いた形となり、一作目ほどの面白さを感じなかったと思います。

とはいえ、縄田一男氏が書かれているように、本書がエンターテインメント時代小説として面白い作品であることは間違いありません。

一作目で大変な目にあった同心の渋井鬼三次が本作でもなかなかに重要な役割を果たしていたり、市兵衛の影の仲間とも言うべき存在も変わらずに活躍します。

現時点(2014年8月)では四作目まで出ているようで、なかなかに面白い作者を見つけたと楽しくなります。

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