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高田 郁 残月 みをつくし料理帖

残月 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)残月 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)
(2013/06/15)
高田 郁

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久しぶりにこのシリーズに接したと思ったら、第七巻の「夏天の虹」を読んだのが二年以上も前のことでした。相変わらずに、丁寧な文章で語られており、落ち着いた心穏やかなひと時を過ごせたと感じさせてくれる作品でした。

前作では吉原の大火という思いもかけない災難に出会いながらも、それに立ち向かっていく澪が描かれていました。その災難は「つる家」の人々にとっても辛いもので、シリーズの雰囲気も暗くなっていたものです。

しかし、本作では明るい兆しが見えてきています。

二話目「彼岸まで - 慰め海苔巻」で、行方不明になっていて何の手掛かりも無かった天満一兆庵の跡取りで芳の息子の佐兵衛の消息が分かるのです。また、四話目「寒中の麦 - 心ゆるす葛湯」では、澪と共にあって、苦労ばかりを重ねてきた芳の身の上に大きな変化が訪れます。二話目では「人の気持ちも物事も、全てのことはうつろうてゆく」と、「諦念を語る芳」ですが、物語自体に光がさしてくるこの巻はこの物語の完結が近いことを意識しているのでしょうか。

それでいて食に関しての澪の努力の場面を描くことは忘れられていません。三話目の「みくじは吉 - 麗し鼈甲珠(べっこうだま)」では、何かと澪の前に立ちふさがり澪らを困らせる、料理番付大関位の料理屋「登龍楼」の主人采女宗馬が登場し、難題をふりかけます。

このように、なにかと辛い思いばかりをしてきた澪たちにほのかな明かりが見えつつも、澪の前にはいつも「食」に関しての問題が示されています。冒頭にも書いたように、澪が、提示された問題に立ち向かい、それをを乗り越えていく様が、この作者の丁寧な語り口で語られると、良い本に出会えた喜びを感じるのです。

本シリーズはこの後「美雪晴れ」へと続き、その後の「天の梯」で完結となるそうです。話は次第に完結へと向かいつつ、まとめられつつあるのでしょう。

心穏やかに、爽やかな読後感をもたらしてくれるシリーズだと思います。

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