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大沢 在昌 雨の狩人

雨の狩人雨の狩人
(2014/07/24)
大沢 在昌

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久しぶりに大沢在昌を読んだのですが、相変わらず小気味良い文章です。内容は決して明るい話ではないのですが、じっくりと書き込まれているので物語世界に入り込みやすく、時間を忘れそうです。ただ、少々コクがあり過ぎて近年の文庫版の時代小説に見られるような読みやすさを期待する人には向かないと思われます。

新宿のキャバクラで高部という不動産会社の社長が殺された。事件を捜査するうちに、佐江と谷神は新宿の場末の飲み屋街であるオレンジタウン一帯についての地上げの動きがあることを嗅ぎつけるが実体がなかなかつかめない。それでも調べが進む中で日本最大の暴力団である高河連合が動いていることが判明し、オレンジタウンを舞台とする大きなプロジェクトが動き出そうとしていることを掴む。一方、フィリピンから苦労の末に日本に来た少女プラムが物語に絡んでくるのだった。

本書の帯を見ると「『新宿鮫』と双璧を成す警察小説シリーズの最高傑作」とありました。確かに、物語の雰囲気は「新宿鮫」に似ています。主人公舞台も新宿署の刑事ですし、仲間からも孤立している一匹狼である点も同じです。また、暴力団の人間は本書の主人公佐江を知らない者はおらず、また恐れている点も同じです。

反面、「新宿鮫」の主人公鮫島はキャリア組であったのに対し、本書の主人公佐江は叩き上げです。そして、本書に限って言えばその佐江は警視庁捜査一課の谷神と組んで動き回ります。共に一匹狼でありながら、似たような匂いを持つ二人が協力してことにあたる、これらの点が「新宿鮫」とは大きく異なる点でしょう。

そして、何よりも「新宿鮫」は鮫島というキャラクタの造形が見事だったのですが、それに加えて物語のリアリティが素晴らしかったのです。しかし、本書の場合は現実社会をベースにしているものの、その延長線上には「明日香シリーズ」のようなエンターテインメント性の豊かなアクション性の強い物語が控えています。

「俺は管内の極道には、確かに詳しい。だが、俺に詳しい極道は、シャバにはひとりもいない」と言い切る佐江は、まさにハードボイルドの主人公のせりふなのです。が物語はそうは進まずにアクション性の強い方向へとずれていくのです。

ここまで書いてきてあらためて描くのも変ですが、恥ずかしいことに読み終えるまで知らなかったのですが、本書は「狩人シリーズ」の中の一冊らしいです。本書の前に「北の狩人」「砂の狩人」「黒の狩人」とありました。そして、シリーズを通しては佐江がいて、各巻のメインの主人公は別にいるようですね。だから、本書の場合も谷神という存在がいるのかと、後になって思った次第です。

近いうちに最初から読んでみましょう。

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