FC2ブログ

黒川 博行 疫病神

疫病神 (新潮文庫)疫病神 (新潮文庫)
(2000/01/28)
黒川 博行

商品詳細を見る

『破門』という作品で2014年の直木賞を取った黒川 博行という作家の作品を、どうせならシリーズの最初から読んでみようと思い借りた作品が本書です。結論から言うと、実に面白い。登場人物のキャラも見事で主人公の二人の掛け合いは上質の漫才の掛け合いにも似て小気味いいのです。本書も第19回吉川英治文学新人賞と、第117回直木三十五賞の夫々の候補作品となっています。

建設コンサルタントの二宮啓之は富田林の産業廃棄物の中間処理業者である小畠総業の小畠一三の訪問を受けた。富南市(とうなんし)の天瀬(あませ)に廃棄物を埋める最終処分場を作る計画があるが、地元の水利組合がごねているという。そこで、その組合長の印鑑を貰うために組合長の弱みを探ってほしいというのだ。高額の報酬につられた二宮はその仕事を引き受ける。しかし、巨額の金が動く処理場の開発には様々な思惑が絡み、また、二宮が仕事を依頼してる二蝶会の桑原という男が金の匂いを嗅ぎつけてしゃしゃり出て来るのだった。

全編が産業廃棄物処分場に絡むゼネコンから暴力団までの様々な思惑が入り乱れます。産業廃棄物処理場なるものの開発にどのような手続きや根回しが必要なのか、全くその世界を知らない身としては驚きの連続です。勿論小説ですのでデフォルメはあるでしょうが、それにしても良く調べられ、リアリティのある背景を仕上げてあります。

何といってもこの小説の一番の魅力は先にも書いた二宮と桑原との掛け合いでしょう。大阪弁そのままに交わされる二人のやり取りはユーモアに満ちており、大変にリズミカルで小気味いいのです。

ヤクザとしてそれなりに名の通った桑原の、「金」を行動原理の全てとする様は徹底しています。一円にもならない仕事は歯牙にもかけません。たとえそれが二宮の命がかかっているような頼みごとであっても、自業自得や、と言いきってしまうだけです。一方の二宮は博打で借金をこさえ、その返済に汲々としているどうしようもない男です。しかし、どこか根底で譲れない芯を持っており、途方も無い無茶をしでかしたりします。

そうした二人ですが、二宮が対立するやくざに拉致されても桑原は勝ち目が無いと見るや一目散に逃げ出してしまいます。それでいて、どこかギリギリのところで繋がっているようで、最終的には単なる計算づくではない間柄というものが感じ取ることが出来ます。だからこそ、読んでいて心地よく、感情移入出来るのでしょう。

文庫本で5百頁を越える分量なのですが、リズムよく読み進めることが出来るのでその長さを感じません。また続編でこの二人の掛け合いを読みたいと思わせられる作品でした。

楽しみなシリーズがまた増えました。直木賞受賞作に至るまでゆっくりと読み続けたいと思います。

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

siro

Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR