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逢坂 剛 カディスの赤い星

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随分と前からこの作家の作品を読まなければと思いながら、何故か今日まで手に取ることなく過ごしてきました。ところが、過日逢坂剛原作のMOZUというテレビドラマが放映されはまり、更にその頃図書館で見つけた『平蔵の首』という、あの長谷川平蔵を主人公とする作品を読んで逢坂剛の面白さにはまりました。となれば逢坂剛の代表作のひとつである本書をまず読もうとなったのです。

結果は期待以上のものでした。

小さなPR会社を営む漆田亮(うるしだりょう)は、最大の得意先である日野楽器の河出広報担当常務から、スペインから来日するホセ・ラモス・バルデスの依頼を受けるように頼まれる。二十年前にホセの工房にやってきた日本人ギタリストを探してほしいというのだ。その後、ラモスと共に来日したラモスの孫娘フローラの日本で引き起こした問題もあって、漆田はギタリストを探してマドリードへと旅立つことになるのだった。

当初のこの作品はスペインを舞台にした冒険小説だと聞いていたので、船戸与一の『山猫の夏』のようなある種のヒーローが活躍する冒険活劇小説だと思っていました。しかし、そうではなく、どちらかと言えば藤原伊織の作品に近い、普通の人間の日常が描かれていたのです。普通の人が普通の生活を送って行く中で非日常の世界に巻き込まれていく、普通の人間がテロリストや警察など暴力のプロともいえる人間たちに対して敢然と立ち向かっていく、その姿が軽妙な会話にのって綴られていきます。

本作品が藤原伊織の作品と異なるのは、藤原作品にみられる文章の情緒性でしょうか。本作品がそうなのか、逢坂剛という作家がそうなのかはまだ分かりませんが、少なくとも本作品では主人公の情緒的側面は描写していないようです。

そういう意味でも本作はハードボイルド作品とも言えるかもしれません。面白いハードボイルド作品には欠かすことのできない会話の妙も満喫できます。特に漆田と女性との軽妙な会話は小気味良ささえ感じられます。主人公の漆田の軽口は日本の小説ではあまり見られないかもしれません。キザになるぎりぎりの線でしょう。東直己の『ススキノ探偵』とはまた違って、冗舌とはまた異なる小粋とも言えるタッチなのです。

個人的には終盤の筋立てが少々気にはなりました。もう少しシンプルな方が好みなのです。どんでん返しの面白さも分かるのですが、できれば単純に決めて欲しい気もしました。

とはいえ、今では大御所とも言える逢坂剛の、日本とスペインを舞台にしたスケールの大きな物語である本作品は、十分な読みごたえのある面白い物語でした。

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逢坂剛

 小気味いい会話は読んでいて楽しいですね。
逢坂剛の作品はまだ手にしたことが無いように思います。

 そういいながら、一度ぐらい読んだのかな、ボケとは無縁であると思いつつ、思い込みに対して反省は多いのです。

Re: 逢坂剛

>  小気味いい会話は読んでいて楽しいですね。
> 逢坂剛の作品はまだ手にしたことが無いように思います。

私も逢坂剛の作品はあまり読んでいないので大きなことは言えません。
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本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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