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今野 敏 捜査組曲


「組曲」とは「いくつかの楽曲を連続して演奏するように組み合わせ並べたもの。」と、ウィキペディアに書いてありました。同じような組み合わの楽曲であっても、切り離せば作品単体として成立しない「メドレー」と違い、単体として成立している作品を、組合せの結果、全体としても一つの作品となるようなものをいうそうです。

本書は「カデンツア」「ラプソディー」・・・と、各タイトルを音楽用語にした物語からなっていて、そのタイトルになぞらえた物語が繰り広げられています。これらの楽曲がまとまり、全体として一つの物語、つまりは東京湾臨海署安積班の物語となっているということでしょう。

各短編は、音楽関連のタイトルに擬せられた展開を見せるのですが、話の視点はそれぞれに異なっています。例えば、第三話の「オブリガード」は、安積剛志をライバル視している、強行犯第二係長の相楽の、第四話「セレナーデ」は安積班の新人刑事の水野の、第五話「コーダ」では安積班の黒木啓二の視点でというように、異なった視点で描かれているのです。

また、視点の変化は、おなじみのメンバーの仕事の紹介も兼ねています。「シンフォニー」では鑑識係の石倉の、「ディスコード」では組織犯罪対策課長の榊原肇の視点であり、鑑識や刑事課長の仕事内容を反映した物語となっています。

つまりは、東京湾臨海署という組織は、署長、副署長がいて、強行犯係、知能犯係、鑑識係などを抱える刑事課や水上安全課などの各部署があって、安積の属する強行犯係もその組織の中にあります。これらの各部署の共同作業によって東京湾臨海署は構成されており、動いて行くのだということをも示しているようです。

とは言いながら、それぞれの物語は、いつものことながらとても読み易い文体で、リズムよく読み進めることができます。謎解きをメインするミステリー小説としてみると、出来が良いのかどうかは分かりませんが、ミステリーとして読む人もそれほどいないでしょう。

どことなく、別の人気シリーズである隠蔽捜査シリーズの主人公竜崎伸也と通じるものを感じる、安積警部補を中心としたメンバーの活躍は、私の好みに合致した、読んでいて非常に心地よい作品となっています。

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