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宇江佐 真理 夜鳴きめし屋


本書のような構成は、長編作品といていいのか、連作短編集と言うべきなのかよく分かりません。解説を書かれている文芸評論家の末國善巳氏は、長編だけど中には独立性の高い物語もある、と書かれています。まあ、どちらでもいいと言えばいいのですが。

この解説を読むまで気づかなかったのですが、本書は連作集『ひょうたん』の続編だそうです。『ひょうたん』というタイトルには覚えがあるので、読んではいる筈ですが、昔の話で覚えていませんでした。

本所五間堀にある「鳳来堂」は、店の開くのが八つ(午後8時頃)だという、朝方までやっている“夜鳴きめし屋”です。もとは店主の父親の音松がやっていた古道具屋だったのです。しかし、音松が亡くなり、息子の長五郎がそのあとを継ごうにも道具の目利きもできず、母親と二人でめしと酒を出す見世を出すことになります。その後母親も亡くなり、長五郎がひとり身ということもあって、次第に見世を開ける時間も遅くなり、代わりに朝方まで開けておくようになったものです。

様々な人たちが訪れる「鳳来堂」でしたが、そのうちに長松と惣助という七、八歳位の子供が食事に来るようになります。長五郎にはかつて思いを交わした娘がおり、その娘が深川に帰ってきているらしく、どうもその娘の子らしいのです。長五郎は、その子らの来るのが楽しみになり、何かと好みの料理を作り始めます。

本所、深川といった江戸情緒あふれる土地を舞台に、一膳めし屋を舞台にした、宇江佐真理らしい人情劇が繰り広げられます。この作家の作品の中では、可もなく不可もない、どちらかと言えば平均的な物語、という印象でした。でも、その平均値がとても高いところにあるのが、この宇江佐真理という作家さんだと思います。

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