FC2ブログ

高嶋 哲夫 M8


かなりリアルなシミュレーション小説でした。

1995年1月17日の阪神淡路大震災の被災者でもある瀬戸口誠治は、地震関連のシミュレーションプログラムを開発する。その結果は、M8クラスの東京直下型の地震が起きるというものだった。同じ被災者である河本亜紀子が秘書をしている堂島智子衆議院議員に会い、東京で起きる直下型地震への対応を働きかける。しかし、地震学会は南海地震の可能性を予測するのみで東京直下型地震は除外している以上、総理への直談判などとんでもないという。そんな中、M5.5クラスの地震が東京を襲う。

この作家のいわゆる「パニック小説三部作」のうちの二作を読み終えました。作品としては『首都感染』『首都崩壊』と合わせて4作目ですが、本作が一番読み応えがあったように思えます。

阪神淡路大震災や東日本大震災を経験している人々が多数いるというなか、実際に起こった阪神の地震を描写することはとても困難を伴うことでしょう。作者が実際に被災された方かどうかはわかりません。しかし、小説ではなく『[体験者が明かす] 巨大地震の後に襲ってきたこと』や『巨大地震の日―命を守るための本当のこと』『東海・東南海・南海 巨大連動地震』といった啓蒙書(と言ってもいいでしょう)を書かれている筆者ならではの描写が随所に記されています。

東海大地震など、確実にくると言われている地震に備えるためにも本書のようなことが起こらないことを祈るばかりです。

しかし、こう言いつつも実際地震に対する備えをしないのがほとんどの人でしょう。どこかで自分の身の回りにはそういうことは起こらない、と思っている自分がいるのです。

地震ではありませんが、大きな台風が九州の真ん中を縦断するコースで北上したばかりです。まずは直前の災害に備えた動きをしましょう。

内容が内容ですので、面白かったというにはかなりの語弊があります。しかし、エンタメ小説してみるとかなり読み応えのある小説であるのも事実です。とはいえ、やはり、本書にも出てくる阪神淡路大震災や東日本大震災を経験した日本人としては面白がってはいられない、というのが本心です。

私の住む九州は両地震とも直接の影響はありませんでしたので、更に他人事として語ってはいけないという気持ちがあります。テレビ画面を通してみるその大惨事は、私には決して理解できるものではなく、安易に語れないのです。

そうした意味では啓蒙の書としての本書の意義はかなり大きいものがあるのではないでしょうか。この作家の書くさまざまなパニック小説には、そうした思いが込められていると思えます。

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

siro

Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR