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誉田 哲也 歌舞伎町ダムド


現代の「必殺仕事人」を描いた『歌舞伎町セブン』の続編です。小説としての面白さは『歌舞伎町セブン』よりもあったように思います。

歌舞伎町セブンは自分たちの仕事をこなすうちに、一つの仕事が何者かに先を越されていることを知った。そのセブンは、七年前の「歌舞伎町封鎖事件」のときの陰の組織『新世界秩序』が新宿署の東弘樹警部補抹殺に動きだしたことを知り、東警部補の陰のボディーガードを買って出る。すると、そこにはジウの後継者足らんとする男ダムドがいた。

本作は、『ジウ』から『国境事変』、『ハング』と続く一連の世界と舞台が一緒です。でも、「歌舞伎町セブン」を主人公とした、新たなシリーズとしてみたほうがいいように思え、本書はその二作目ということになります。

エンターテインメント小説としては前作よりも本作のほうが面白いと言えるでしょう。本作のほうがよりアクションに重きを置き、物語の展開がスピーディだからでしょう。

特に、敵役の組織「新世界秩序」がその一端をみせ、東警部補の殺害という明確な指令をだし、セブンが東警部補の擁護に回るという明確な構図があります。そのサイドストーリー的な流れとして、セブンのメンバーであるミサキの過去と個人的な事情からめているのも興を添えていると思えます。

具体的な敵役として設定されている「ダムド」は、誉田哲也独特の猟奇的な存在で、その殺害場面は人によっては嫌気がさすかもしれません。なにしろ、人体の解体場面を描写するのです。決して気持ちのいいものではありません。

まあ、そうした場面はダムドが絡む数シーンしかないので、その場面さえ耐えれば後は誉田ワールドです。誉田作品が好きな人にとっては今さら言うまでもないことでしょう。

ただ、残念なのは、このダムドの存在が少々中途半端に感じられるということです。殺人鬼としての存在そのものは理解できますが、この人物の背景は全く描かれてはいません。ジウにあこがれる存在として突然にあらわれるだけです。単なる物語上の駒の一つとして、ただそこに置かれただけ。極端にいえばそうなのです。もう少し、ダムドの背景を描いてあればと思わずにはおれませんでした。

とはいえ、アクションエンターテインメント小説としての面白さは、さすが誉田哲也です。現代の「必殺仕事人」としての役割が若干弱い点もありますが、それでもなお、個人的に好きな作家のひとりでもあり、その期待は裏切られませんでした。

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