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木内 一裕 デッドボール


テンポが良い文体が特徴の一つでもある木内一裕という作家の、一種遊び心満載と言ってもよさそうな、痛快(青春?)(アクション?)小説です。

何をやってもうまくいかず、自棄になっていたノボルは、1000万円という金に惹かれ、絶対に怪我をさせない約束で誘拐に手を貸すことになった。ところが、約束の場所に金を持った人間は現れず、翌日、自分らは殺人事件の犯人になっていた。

ノボルという律義さだけが取り柄だという主人公と、佐藤というノボルを犯罪に引きずり込んだ男、そして被害者宅の弁護士である成宮弁護士とその愛人の愛美(まなみ)、本書は殆どこの四人で成立しています。

本書はプロローグとエピソード、それに四つの章から成っているのですが、基本的には章ごとに、厳密には同じ章の中でも、随時視点が切り替わっています。そして同じ場面を異なる人物の視点で見るという、面白い構成です。

とにかく場面転換が早く、登場人物の立ち位置がコロコロと変わります。短めの文章をたたみ掛けるように注いでくる書き方は、全体の構成とも相まって、実に映画的との印象を持ちました。

木内一裕という作家の特徴の一つに、ジェットコースター的な疾走感が挙げられますが、本書もその特徴から外れていません。ただ、『藁の楯』や『水の中の犬』のようなバイオレンスの要素はありません。一種のコンゲームと言えるでしょう。

とにかく、単純に物語の世界に乗っかって楽しむ、そういう本です。

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