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今野 敏 連写 TOKAGE3-特殊遊撃捜査隊


TOKAGE3-特殊遊撃捜査隊シリーズの第三弾です。本作品は、白バイとはまた異なる、刑事の中から選抜された乗員のオートバイならではの捜査が特色の作品ですね。

都内で連続して発生したコンビニ強盗に対応するために、警視庁の特殊遊撃捜査隊チーム「トカゲ」も世田谷署に設置された捜査本部に詰めることになった。なかなか手がかりも見つからないでいたが、TOKAGE3メンバーの白石涼子は、三つの事件の共通点として国道246号沿いに発生していることに気づく。

このところ今野敏作品をけっこうなペースで読んでいます。浅田次郎の作品もそうなのですが、気軽に読めて、それでいてそれなりの読み応えがある作家さんはそんなにはいません。そのために一冊を読むと続けて他の本も読みたくなるようです。

本作もまた、同様です。直前に読んだ『マル暴甘糟』はコミカルな側面をも持った作品でしたが、本作はそうではありません。オートバイによる捜査という、本作品以外では読んだことのない設定での物語です。オートバイによる捜査ということで視点が異なってきます。普通の聞き込みなどとは異なる、本シリーズならではの捜査の面白さが楽しめます。

主人公と言ってもいい立ち位置の上野数馬は、バイクによるパトロール中に風景をまるで写真のように見るそうです。写真のようにということは、後になってその写真を見ることができる、つまりは意識下に収められた風景の中から、特定の場面を写真を見るように思い出すことができる能力が長けているということです。つまりは、写真の連写のように風景を記憶していくのです。本作品のタイトルもこのことを指しています。

この記憶能力を生かしつつ、オートバイによる捜査の特色を織り交ぜながら物語が展開します。

蛇足かもしれませんが、一言。本書をミステリーとして読むとき、事件の解決に結びつくアイディアが、主人公や主人公近くのメンバーの中から出てくるというのは、小説の宿命として仕方のないところではあるでしょう。しかし、強いて言えば、何もTOKAGEのメンバーではなくても、ベテランの捜査員であれば気がつきそうなことを、TOKAGEのメンバーに言わせるのは如何かという気はします。白石涼子の指摘する、犯行現場が国道246号沿いに発生していること、などはその最たるものでしょう。

でも、そうした指摘は言わずもがなのことであり、読者としては素直に話に乗っかっていけばいい、とも思います。特に本作品のように物語として単純に面白く読める作品では尚更です。他の警察ものでは見られない、本シリーズならではのバイクによる捜査のもたらす醍醐味を単純に楽しめばいいのでしょう。

今野敏作品の若干のマンネリ化を危ぶみながらも、物語の一定水準の面白さを維持していることを確認しつつ、次の作品を待ちたいものです。

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