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金子 成人 付添い屋・六平太 鷺の巻 箱入り娘


付添い屋・六平太シリーズの四巻目です。これまで同様に四つの短編からなっています。

「箱入り娘」 六平太は不意の付添いが縁で、播磨石郷藩米倉家のお抱え屋敷に出入りするようになる。屋敷の主・お佐江の方の娘、結衣の輿入れが決まった。西国へ嫁ぐ前に、六平太は結衣を江戸見物に連れ出す。

「島抜け」 ひと月前、伊豆大島で三人の島抜けがあり、一人の消息がつかめない。男は兇盗・黒弥陀の一味だったくちなわの惣兵衛。黒弥陀は六年前、内部の裏切りにより全員が捕らえられた。一味を売った丑松は、半次と名を変え、六平太も通う元鳥越の髪結い「きのし床」を営んでいた。

「神隠し」 秋月六平太は、困っていた。神田「紙半」の娘・お夏の行き先は、なにがなんでも野巫(町場の陰陽師)の御託宣に従うからだ。大川の川開きの当日、お夏は夕刻から花火見物でごった返す両国に出かけると言い出した。案の定、六平太は大川の橋の袂でお夏を見失う。

「藪入り」 夏の藪入りの十六日、六平太は竹木炭薪問屋「田丸屋」の丁稚奉公・幸助と深川にやってきた。幸助は一年前の夏に父を亡くした。その年の藪入りに実家のある下谷の裏店に行くと、母の姿はなく知らない家族が住んでいたという。幸助の母・おれんは、深川で男に売られていた。

(Amazon 内容紹介より)

本作からは「あとがき」が無くなってしまいました。何故でしょう。シリーズものの宿命として書くべき事柄も無くなるのでしょうか。

直前の巻(第三巻)の折に、一時間ドラマのようだ、と書きました。その理由らしきものとしては、話の展開のしかたとそれぞれの話の決着の付け方とがうまいと感じるのです。段取り良く進みその話を終えるのですね。そしてそれはどことなく現代的なのです。痛快時代小説としての面白さは十分に備えているのですが、例えば剣を銃に起き変えて西部劇としても通用しそうです。

以上のことは、この頃新たに知った作家野口卓の『軍鶏侍』シリーズを同時に読んでいて思ったことでもあります。『付添い屋』シリーズに比べ『軍鶏侍』シリーズのほうが人物の内面描写が格段に多いのです。

舞台の背景、つまりは情景描写にしても同様で、物語のもつ情景の広がりが『軍鶏侍』のほうが、より私の好みにはまりました。物語の持つ「和」の匂いが高いのです。人によっては情緒的に過ぎると感じるかもしれません。そうした方は、本『付添い屋』シリーズのほうが好みに合致するのではないでしょうか。

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