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ジェイムズ・ダシュナー メイズ・ランナー (2) 砂漠の迷宮


メイズ・ランナー三部作の二作目です。前作である第一部目の作品からすると、個人的な興味、興奮度は下がったとしか言えない作品でした。

前作で迷路から脱出し、文明社会に戻ってきたはずのトーマスたちだったが、目覚めるとテレサは行方不明であり、部屋にはひとりの男が本を読んでいるだけだった。その男によると、これまでは第一段階の試験であり、更に困難な第二段階の試験が待っているという。その試験とは、外へ出て真北約160Kmの地点にあるセーフ・ヘブン(安全地帯)に二週間以内にたどり着く、ただそれだけのことだと言うのだ。ただ、トーマスたちはフレアという病に感染させられており、セーフ・ヘブンで治療してもらわなければ死を迎えるのみらしい。しかし、踏み出した外の世界は白熱の太陽に照らされた灼熱の世界であり、息をするのも苦しいほどの世界だった。

前巻で共に脱出してきた仲間と共に新たな冒険が始まります。しかし、本シリーズの、太陽フレアに襲われた世界であることや、その世界を救うべく設立されたWICKEDという機関、などの物語の背景はすでに示されていて謎でも何でもなく、やはり第一巻目の持っていたインパクトは当然のことながらありません。

更には、第一巻目の物語の舞台が、巨大な「迷路」で囲まれた子供たちだけしか存在しない限定された世界、という点も大きなインパクトだったと思いますが、その舞台も使えないために、物語の持っていた大きな謎も、その大部分が無いことになります。

しかしながら、本作品が面白くないというわけではありません。ただ単に前作ほどの衝撃はないというだけです。まあ、その点が重要なのではありますが、本作品ではWICKEDという機関そのものに対する謎は残っていますし、更にはトーマスとテレパシーでの意思疎通が可能だったテレサの存在がより大きなものとして現れます。また、新たな仲間も加わり、灼熱の荒野、廃墟を進む冒険譚が繰り広げられるのです。

この冒険譚では、フレアという病を抱えた人類が主人公たちの進行を妨害する敵として現れます。このフレアに罹った人たちが、存在がゾンビのもつイメージと変わるところが無く、個人的には残念な設定ではありました。とはいえ、フレアという病の存在がトーマスたちの生存にも関わってくるわけで、それなりの意味は持っています。

総じて、第一巻目ほどの衝撃や魅力には欠けるけれども、シリーズを通して設けられているWICKEDという機関の持つ謎や、主人公たちが挑戦させられる「試験」そのものの持つ意味、トーマスがたまに見せる過去の記憶、テレサとの関係などの謎は相変わらずに読者を引っ張ってくれます。ヤングアダルト向け小説ではあっても、冒険小説として、またSF小説として十二分に読むに値する物語だと思います。

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