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高田 郁 天の梯(かけはし) みをつくし料理帖


みをつくし料理帖シリーズもついに本作品が最終巻となってしまいました。全十巻のこのシリーズは、ひたすらに料理の道に精進する一人の娘の成長物語でもあり、人情物語としても、物語の厚みを求める方には物足りないかもしれませんが、一級の面白さをもった小説です。

『食は、人の天なり』――医師・源斉の言葉に触れ、料理人として自らの行く末に決意を固めた澪。どのような料理人を目指し、どんな料理を作り続けることを願うのか。澪の心星は、揺らぐことなく頭上に瞬いていた。その一方で、吉原のあさひ太夫こと幼馴染みの野江の身請けについて懊悩する日々。四千両を捻出し、野江を身請けすることは叶うのか!?厚い雲を抜け、仰ぎ見る蒼天の美しさとは!?「みをつくし料理帖」シリーズ、堂々の完結。(「BOOK」データベースより)

最終巻である性質上、当然のことではありますが、前巻同様に澪に対する障害となる事件は起こりません。と、こう書くと物語の筋をバラしていることになるので、本来は書いてはいけないのでしょう。しかし、本シリーズの終わりにむけてどのように決着をつけていくのか、が物語の主眼でしょうから、これくらいは良いかな、と自己弁護です。

ともあれ、澪の夢であるあさひ太夫こと野江の身請け話はどうなるのか、また念願の「天満一兆庵」の再興はどうか、など期待は膨らみます。

第一巻を読んだのが2009年の10月13日だとメモにありました。そして今日2016年1月25日までほとんど6年半をかけて全十巻の物語を読み終えたことになります。至極良質の心に響く物語でした。料理が好きで、自ら料理を作ることが好きな方ならば更に面白いと思える作品ではなかったかと思います。

高田郁という作者は一方で『あい』のような、読み応えのある作品も書かれています。でも、本作のような更に読みやすい作品でも作者の優しい目線は失われてはいません。

読んでいる途中では小さな喜びをもたらしてくれ、あとには爽やかな読後感が残ります。主人公の内面を、的確な情景描写と、独白のような一人称で表現するこの人の文体は、とても心地よく読むことができました。

高田郁という作家の次の作品を期待したいと思います。

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