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冲方 丁 天地明察


今日は5月の16日です。熊本地震の本震からひと月だと、いろいろなところで目にし、耳にします。個人的なことですが、背骨の病からきているぶどう膜炎が再発し、また眼球注射の日々に戻りました。ひどくはないので、多分もう打たなくても良いと思われます。二年近くの発症していなかったのもう大丈夫と思っていたのに、ストレスなのでしょうか。原因は不明です。

読もうと思ったきっかけ

今となっては理由は忘れたのですが、何故か本屋大賞まで取っているこの作品に対して拒否感があり読まずにいました。ところが、槇えびし氏の描くコミック『天地明察』の一巻目を読み、それまで抱いていた本書に対するいわれのない先入観が取り払われたのです。その時の印象からすると、本書の内容を勝手に決め付けていたものと思われます。

実際読んでみて

実際本書を読んでみると、コミックは本書の冒頭をかなり正確に再現してあり、コミックの面白さをそのままに本書の面白さとして捉えることができました。本来は本書こそが原作なのであり、おかしな言い方ではあります。

作者はSF作家として高名な人だったそうですが、本書はとてものこと初めての時代小説だとは思えない、見事な作品として仕上がっています。

主人公の人物像

渋川春海(しぶかわ はるみ)という名は過去に聞いたことがありました。しかし、その人が本書の主人公だとは全く思いもしませんでした。渋川春海という人は本来は二世安井算哲として徳川将軍の御前にて行われる御城碁の打ち手であるのですが、算術(数学)や暦法を学び、当時かなりの誤差が生じていた暦の改暦に挑むことになります。その様を描き出したのが本書です。

数学の面白さにのめりこみ、彼の生活のすべては数学が中心にある人のようです。本来の職務である囲碁もそうですし、暦法も勿論数学が基礎にあってこそのものです。二刀を邪魔なものとしか思えず、数学の問題を考え始めたら他のことは目に入らない人です。 本来は武士ではないのですが、二刀を帯び武士として将軍の御前で碁を打ちます。碁を打つそのことに武士である必要はないのですが、そこは深い思惑が働いており、その点は実際読んで確かめてみてください。

時代背景

水戸の徳川光圀らの後押しを得て、京の公家衆の間の根回しなどの苦労がよく描かれています。私でさえその前だけは知っていた関孝和らも登場し、本書では彼らの応援もあって改暦が成ったとされています。

特に面白く感じたのは、「会津家訓十五箇条」で有名な会津中将と呼ばれた保科正之についての描写がかなり詳しくなされていることです。名前だけは知っていたこの大名の人となりを詳しく描写し、作者のかなりの思い入れを感じさせる描き方が為されています。この保科正之や光圀らの後ろ盾があってこその春海の業績が成ったとの流れは歴史的な事実のようで、非常に納得でき、また面白いものでした。

改暦 その重要性

唐の宣明暦によっていた日本の暦を、中国からもたらされた授時暦による暦へ変更しようとする作業です。それは日本全国の生活の根底への変革をもたらす一大事業なのです。それを政を委託されている立場の幕府が行っていいものかという問題を始め、簡単にはいきません。単純に、発行される暦自体からもたらされる富だけでも膨大な金額になります。

この改暦の問題は明治維新期にもありました。すなわち、太陰暦から太陽暦への変更です。この改暦の結果今の私たちの生活があるのです。

映画化 ほか

滝田洋二郎監督により岡田准一主演で映画化されました。他に宮崎あおいや中井貴一なども出演しているそうです。未だ未見のこの映画です。早速DVDを借りてきましょう。

また、第31回 吉川英治文学新人賞、第7回 本屋大賞を受賞した作品でもあります。

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No title

「天地明察」読みましたよ~
映画も観ました!
この本はうちにあるんじゃないかしら?
自分で買う珍しい本の一冊です。しかも単行本を!
どうして、siroさんに回さなかったんでしょうね~?

原作も映画もとても面白かったですよ!
この映画でも、岡田准一が役者として素晴らしかったような気がいます。

ところで、目の方は大丈夫ですか?
siroさんの大きな楽しみと才能が読書ですので、くれぐれもお大事にね!

Re: No title

> 「天地明察」読みましたよ~
> 映画も観ました!

久しぶりです。

本の話は勿論、映画の話も聞いたことないよね。
岡田准一は『蜩の記』にも出ていたし、すごい役者になったものです。

映画はまだ見ていないので、近いうちにDVDを借りることにしましょう。

ところであなたのほうはもう落ち着いたのでしょうか。
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(こちらです⇒読んだ屋
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