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あさの あつこ 夜叉桜


雨がやみません。夜中に強い風が吹き、ガサガサという音がするたびに、落ちた屋根瓦の代わりの応急処置のテープがはがれたのではと焦る毎日です。

このごろでは竜巻注意報などという聞きなれない注意報まで出る始末です。「注意」とは言っても、竜巻への注意のしようもないでしょうけどね。

ということで本書ですが、近頃読んだ時代小説では一、二を争う面白さを持っていると感じたあさのあつこ氏の時代小説「弥勒」シリーズの『弥勒の月』に続く第二弾です。

江戸の町で女が次々と殺された。北定町廻り同心の木暮信次郎は、被害者が挿していた簪が小間物問屋主人・清之介の「遠野屋」で売られていたことを知る。因縁ある二人が再び交差したとき、事件の真相とともに女たちの哀しすぎる過去が浮かび上がった。生きることの辛さ、人間の怖ろしさと同時に、人の深い愛を『バッテリー』の著者が満を持して描いたシリーズ第二作。(「BOOK」データベースより)

本作では、個々の登場人物のよって立つ人物背景が少しずつ明らかにされていき、質感を伴った人物象が少しづつ構築されていきます。

即ち、前作では清之介の抱える深い闇が明らかにされたのですが、今回はその清之介の過去が今によみがえってきます。清之介の商人としての生き方をどこまで貫くことができるのかが深く問われてくるのです。

一方、岡っ引の伊佐治の過去も少しですが紹介されています。いつも清之介に対して不満を抱えている伊佐治ですが、それでもなお信次郎についていく、いや本音ではついていきたいという伊佐治の心のうちが明らかにされていきます。それは、つまりは信次郎という人間を認めていることに他ならないし、自らも信次郎と同種の人間であることを認識することでもあるのです。

ただ、伊佐治や清之介の心象風景が丁寧に語られるのは良いのですが、若干ですがくどさを感じる面もありました。その分ストーリー展開が滞った感じです。とはいえ、あえてその点を言い立てるほどのことはなく、ほんの少しの違和感を感じる程度、と言っていいのでしょうか。

とにかく、前作で見られた信次郎、伊佐治、清之介という主要三人の心の内での駆け引きの面白さは十分に堪能できる一冊です。

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(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

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