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渡辺 容子 エグゼクティブ・プロテクション


ここ数日、震度2クラスの余震が数日おきに起きている気がします。昨日は震度3でした。余震の後は雨、その後はまた余震。もはやあきらめの境地でもありますが、次回大きな地震が来たら崩壊する家屋は多数出ることでしょう。勿論我が家など一番に崩れそうです。今はただただ「怖い」の一言です。

さて本書ですが、女性ボディーガードを主人公にした、アクションエンターテインメント小説です。

トップランナー、真姫の警護を担当することとなったボディガードの八木は、自らの髪を金色に染め、ハイ・プロファイル・プロテクションを実施する。企業のイメージキャラクターとして、アスリートとして、涙を見せず気丈にふるまう真姫に、悲劇は襲いかかる。コーチが殺害され、あらぬ疑いをかけられた真姫を救うため、八木の率いる女性警護チームがあらゆる危険を排除すべく動いたが―『左手に告げるなかれ』の江戸川乱歩賞作家、渡辺容子が圧倒的なスピードとスケールで描く渾身のボディガードエンターテインメント。(「BOOK」データベースより)

読了後に調べていくうちに知ったのですが、本書は八木薔子(やぎ しょうこ)という女性を主人公にしたシリーズの二作目でした。

一作目の『左手に告げるなかれ』は、第42回江戸川乱歩賞を受賞しています。ただ一作目での主人公八木薔子は「保安士」つまりは「万引きGメン」という設定です。乱歩賞受賞作らしく、ミステリー作品のようで、アクションメインの本作とは異なる印象があります。二作目である本書とのつながりはどうなっているのか、本書には書いてはなく不明です。もしかしたら、人物名だけは一緒ですが、物語としてのつながりは無いのかもしれません。早速読んでみようと思います。

本作品についてはアクションエンターテインメント小説とは書きましたが、アクション性を前面に押し出しているというよりは、むしろミステリー性のほうが強いと言うべきなのかもしれません。この点で前作とのつながりがあるのでしょうか。

本作品では、ボディーガードという職務の内容を、スタッフの動きまで描写しつつ、読者に分かりやすく描いてあります。本来のボディーガードの職務からすると「逃げる」ことこそ為すべきことであり、襲撃者に対して反撃することはボディーガードのあるべき姿ではないのだそうです。このことは、テレビでもボディーガードを職務としていた人が同じことを言っていたので間違いのないことなのでしょう。

とすれば、小説としてアクションを描く場面はあまり無なそうなのですが、そこはエンターテインメント作家です。うまく処理してあります。

本書で八木たちによる警護対象者であるマラソンランナーの真姫は、さまざまな妨害を受け、ときには物理的な攻撃まで受けます。だからこそボディーガードを依頼したのでしょうが、あるとき真姫のコーチが殺されてしまいます。八木は真姫に対する単なる外的な攻撃だけではなく、真姫の心のうちまで配慮するガードを心がけるのです。

そして、コーチの死、真姫に対する攻撃の裏には企業の思惑を越えた秘密が隠されていて、誰が、何故コーチをも殺したのか、という謎を持って物語は進んでいきます。

ボディーガードを主人公にした小説は少なからずあるのですが、女性が主人公の物語を他には知りません。本作では女性を主人公としながらも、エンターテインメント性を十二分に発揮しつつも、物語の持つリアリティーをも満たしている、個人的には読みごたえのある作品だと思いつつ読み進めました。

若干、真姫の父親の描写などに私の好みからは外れた冗長性を感じないでもないのですが、それらは個人的な好みとして無視できるものです。全体的には新た書き手を見つけたという喜びが大きい作家さんでした。

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