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あさの あつこ 地に巣くう


「弥勒」シリーズの第六弾長編小説です。

木暮信次郎は、両替商大橋屋の内儀であるお美代の接待で小料理屋「菊若」で飲んだ帰り、不覚にも刺されて怪我を負ってしまう。刺したのは島帰りの徳助という男だが、どうも飲んだ酒に何か入っていたらしい。その徳助は数日後に水死体となり発見されるが、調べてみると信次郎の父親の悪事へとの繋がりが見えてくる。そのうちに大橋屋が焼け、お美代も亭主と共に帰らぬ人となるのだった。

今回は信次郎の父親である右衛門の意外な過去が暴かれます。自らの父親の裏の顔を暴くことにもなりかねない信次郎ですが、謎を解き明かすことこそ面白いと突き進む信次郎です。しかし、右衛門に心酔する伊佐治には信次郎の心の内は理解できず、信次郎からは探索から外すとまで言われてしまいます。

今回も、信次郎が刺された訳や、探索の過程で現れた父親右衛門の裏の顔などの謎を解いてゆく過程も見どころではありますが、やはり信次郎と伊佐治、それに遠野屋清之介の三人の心情の交錯こそが要ででしょう。

このシリーズを読むきっかけとなった「第二級活字中毒者の遊読記」の焼酎太郎さんは、この信次郎と清之介の繰り返される心理描写について、「そろそろ、信次郎と清之助の、なんていうの、腹の探り合いじゃなくてなんかこう、感情のもつれ合いっての、なんだか鬱陶しくなってきました。」と書いておられます。

確かに、このシリーズは、普通ではない考え方をする信次郎と、尋常ではない過去を持つ清之介との心理描写がこれでもかと描写されていて、鬱陶しいという言葉も分からないではありません。でも、前にも書いたように、中心となる三人の登場人物の「人間のありよう」をこそ楽しんでいる身としては、やはり面白い物語だとしか言いようがありません。

ただ、焼酎太郎さんも面白くないということではなく、マンネリ化しているということを言いたかったのでは、と思われ、そういう意味では否定しがたいと感じている自分も居て、どうも八方美人的な私の感想だとも思っています。

とはいえ、個人的には今後の展開を楽しみにしているシリーズです。

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No title

どうもです。

いつのまに6作目まできてたんですか(笑)

これ信次郎が35歳くらいの設定ならば
まだ奥行きを感じると思うのですが、25歳でしょう。
その割にはねっちゃりとした人間だと思うんですよねー。
まあ、現代の齢と一緒くたにするわけにはいきませんが・・

まあ、ああは書いても私も話を楽しんではいるのですよ。
たぶん次くらいであの岡っ引きの親分くらいが死ぬんじゃないかと思っているのですがね。
7作目早く読めるといいですね。

ありがとうございました☆

Re: No title

> これ信次郎が35歳くらいの設定ならば
> まだ奥行きを感じると思うのですが、25歳でしょう。
> その割にはねっちゃりとした人間だと思うんですよねー。

確かに、あの信次郎のひねくれようは普通ではありませんね。
でも、そこが面白いのでしょうが。

> まあ、ああは書いても私も話を楽しんではいるのですよ。

はい。
そのように感じます。

> たぶん次くらいであの岡っ引きの親分くらいが死ぬんじゃないかと思っているのですがね。

親分もこの物語のメインを張る登場人物ですよ。
その親分がいなくなる、なんて普通は無いですよね。
でも、この物語に関しては、それは無い、とは言えない気もします。
特に本作の内容からして、親分の死亡フラグ的な内容でもありますしね。

> 7作目早く読めるといいですね。

同感です。
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