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佐伯 泰英 旅立ノ朝-居眠り磐音江戸双紙(51)


「平成の大ベストセラーシリーズ」とは惹句に書いてあった文句ですが、決して大げさではない言葉です。その一大シリーズが全五十一巻目の本書を持って終了しました。

雲ひとつない夏空の下、穏やかな豊後水道の波を切る関前藩所蔵船豊後丸の船上に、坂崎磐音とその一家の姿があった。病に倒れた父正睦を見舞うため、十八年ぶりに関前の地を踏んだ磐音は、帰国早々国許に燻ぶる新たな内紛の火種を目の当たりにする。さらに領内で紅花栽培に心血を注ぐ奈緒の身にも…。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、“剣あり、恋あり、涙あり”の書き下ろし長編時代小説第五十一弾。平成の大ベストセラーシリーズ、ここに堂々完結!(「BOOK」データベースより)

本書では場面のほとんどが、磐根の故郷である関前藩を舞台としています。家老である父正睦が歳をとるのにに伴い、新たな内紛を抱え込んだ関前藩での磐根の活躍が描かれるのですが、なんとなく以前あった内紛劇の焼き直しに感じられたのは残念でした。

また、この長大な物語の初期にあった熱意といいますか、若い磐根が市井の人たちと共に暮らしていくエネルギーは、残念ながら感じられなくなっています。

長年にわたり語り継がれてきた磐根の物語の最後を飾るにふさわしい物語であるかどうかは、個々人の受け取り方次第だとは思います。ただ、個人的にはそれなりの収まり方を見せてくれたのではないかと思っています。

一口で五十一巻といっても、2002年4月に第一巻が出ていますので十四年余りを経ていることになります。作者の苦労は大変なものがあったのではないでしょうか。それなりのネタは出尽くしているでしょうし、そんな中での本巻のまとまり方は評価すべきだと思うのです。

息子空也の新たな旅立ちを物語の締めとするのも、磐根の物語の新たなる旅立ちとすれば、未来に向かっての展望をも見据えたものとして感慨深いものがあります。

この作者には他にも多くの物語がありますが、やはり磐根の物語は別格だと思わされる最後でした。

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