FC2ブログ

渡辺 容子 イン・パラダイス


平凡(?)な主婦が趣味とするパチンコで知り合った仲間の自殺の謎を解こうと素人探偵として挑む物語です。

パチンコを唯一の趣味とし、パチンコホールで知り合った仲間たちとの他愛もない毎日をおくる小田切可憐。彼女は、かつて婚約者でもあった桜井とデュオを組みヒット曲を歌っていたが、桜井を交通事故で失うという過去を持っていた。ある日、パチンコ仲間の女性が自殺をしてしまう。その後、彼女の自殺の理由を知りたいと彼女の兄と名乗る、可憐の元パートナーだった桜井と瓜二つの男が現れる。可憐は自分の気持ちに気付きながらも、その男手伝いをするのだった。

ミステリーであることに間違いはないのですが、探偵役が警察官でも探偵でもない、普通の女性(と言っていいかは差し置いて)が知人女性の自殺の謎に迫ります。本書の特徴と言えば、やはりこの素人探偵ということでしょうか。それに、物語の背景がパチンコであるということを忘れてはいけません。

私も学生の頃パチンコにはまりました。下手なバイトよりもずっとお金になりましたね。パチンコホールに長く通っていると、この本に書いてある通り常連さんと仲良くなります。当然パチプロとも知り合いなり、いろいろなことを教えてもらったものです。

当時は女性でパチンコにはまっている人は今ほどは多くなかったと記憶しています。パチンコホールも、本書に書いてあるようなおしゃれな印象はありませんでしたので、本書のパチンコホールの描写には若干戸惑いを感じもしました。当然のことながらCR機のことは全く分かりません。

CR機とはプリペイドカードに対応したパチンコ台のことです。でも実際はフィーバー台のように殆どギャンブルだった台のことを言っていたような気がします。そんなパチンコにのめりこんだ主婦らの中に本書の主人公である可憐も、そして自殺してしまった白鳥永遠子もいました。

相談があると話しかけられた永遠子の頼みを断ったその日に永遠子は死んでしまいます。そのことに負い目を負っていた可憐は、永遠子の兄という、死んでしまった婚約者の桜井に瓜二つの男に心を騒がせ、共に永遠子の自殺の謎を探ろうとするのです。

この物語の半分は可憐が行う探索の模様を追いかけることで占められていますが、残りの部分は桜井にそっくりの男との恋心、それに絡んで可憐の今の夫柾との夫婦の問題で占められています。

永遠子の死の謎、それに伴う永遠子の兄という男の登場とその男に対する可憐の恋心、そして若干オタク的な雰囲気を持ってる可憐の現在の夫との夫婦というもののあり方と、本書には複数の見どころがあるように思います。そして、女性目線でしか描けないと思えるかつての男と今の男の間で揺れる女心を描き出す、と言ったところでしょうか。

他のミステリーに見られるサスペンスフルな出来事はあまり見られません。若干、それらしい雰囲気も見られるのですが、あくまで主婦の普通の生活の範囲の中でのミステリーなのです。ここまで書いただけでもネタバレと言われても仕方のない書き方をしているので、これ以上は書けないのですが、主婦目線のミステリーを上手く書いているものだとは思います。

ただ、本書の主人公は普通の主婦とはやはり違います。世間の注目を浴びたことがあり、一生食べるには困らないだけの蓄えも確保している女性を普通の主婦とは言えないでしょう。

更には、本書の結末が何とも私が男だからなのか、受け入れにくいものではありましたが、そこは実際に読んで感じてもらうしかありません。なかなかにユニークなミステリーでした。

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

siro

Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR