FC2ブログ

金子 成人 付添い屋・六平太 玄武の巻 駆込み女


殆ど一年近くの間があいて付添い屋六平太シリーズの第五弾を読みました。久しぶりに読むと、あらためてこの物語の面白さを感じます。

第一話 厄介者
六平太と相惚れの仲である、音羽の廻り髪結い・おりきが何者かに襲われた。六平太は、おりきの付添いを始めるが、おりき自身から「客にからかわれるからやめてくれ」と言われてしまった。おりきの身の危険は去っていなかった。
第二話 十三夜
馴染み客である飛騨屋の親子から、六平太は老夫婦の江戸見物の付添い屋・を頼まれる。しかし、妻のおもとのほうは、少し物忘れがひどくなっているようだ。江戸見物に出かけても、おかしなところへ行こうとするのだ。
第三夜 駆込み女
六平太は、商家のお内儀を鎌倉まで送るという付添いを頼まれる。行き先は、駆け込み寺として知られる東慶寺。味噌問屋のお内儀であるお栄は、義父母、夫の仕打ちに耐えかねて、家を出たのだという。
第四話 初時雨
江戸の老舗菓子屋をあの手この手で乗っ取ってきた『甘栄堂』は、悪事を知られている六平太をなんとか取り込もうとしている。ある日、秋月家に届いた『甘栄堂』からの付け届けの菓子を、妹の佐和は無断でお裾分けに持ちだしてしまう。
(「内容紹介」より)

秋月六平太という主人公個人としては、他のシリーズの主人公とそれほどに変わるものではありません。なのになぜこのシリーズに惹かれるのでしょうか。それは個々の登場人物のキャラクターの魅力に加え、作者の舞台設定のうまさがあるのだ思います。

前作の感想を書いたとき、『軍鶏侍』のほうが物語の持つ「和」の匂いが高く、私の好みにハマると書きました。しかし、本作を読むとその感想も危ういものと感じます。物語の持つ世界に馴染んだためなのか、作者の文章作成力が上がったのかは分かりませんが、物語の持つ面白さが増しているように感じられたのです。

これまでの作風とそれほど変わっているようには思えないのに何故なのかというと、人物の心理描写がもしかするとより丁寧になっているのではないか、という気はします。以前の作品が手元にないために比べることはできませんが、シリーズの面白さがどんどん増しているようです。

特に六平太の義妹の佐和に想い人が出来てからの佐和の心情や、妹の様子を見て感じる六平太の心の動きは読んでいてほほえましいし、それぞれの話、例えば「第二話 十三夜」でのおもとという妻の話は身につまされる話でもあり、感情移入してしまいました。

また、全体を通しての十河藩が絡んだ話や、六平太の顧客の一人である材木商「飛騨屋」の話、そして「飛騨屋」絡みでの十河藩の内情が明らかにされ、それに加えて敵役的立場の『甘栄堂』の存在感など、読んでいて物語の核となる出来事、人物の描き方がそれなりの主張が見えてきているように思えます。

物語の世界観の完成度がより高くなっていると言ってよさそうなのです。つまりは感情移入しやすいということですね。続けて続編を読みたいと思います。

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

siro

Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR