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原田 マハ カフーを待ちわびて


あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年の熊本は大地震にに振り回された一年でしたが、本年は静かな、しかし明るい年であれと願いたいものです。

さて、本書は『暗幕のゲルニカ』で直木賞候補になった原田マハの小説家デビュー作品だそうで、第1回日本ラブストーリー大賞を受賞している長編恋愛小説です。

もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください―。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。「嫁に来ないか。」と書いた明青のもとに、神様が本当に花嫁をつれてきたのだ―。沖縄の小さな島でくりひろげられる、やさしくて、あたたかくて、ちょっぴりせつない恋の話。選考委員から「自然とやさしい気持ちになれる作品」と絶賛された第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作品。(「BOOK」データベースより)

全338頁という文庫本を読んだのですが、一頁の行数が十四行と少なく、更に余白も広めにとってあるので、本の厚さに比べて文章の量は少なめで思ったより時間がかかりません、というのは文字の量という物理的な話で、何より、読みやすい文章です。

数年前に一度だけ我が家の家族旅行で行った沖縄の空気感は、湿度の高い九州の空気とは違ったものでした。行ったのが秋口だったので、暑い盛りの夏の沖縄の太陽は味わえませんでしたが、それでもなお九州とは違う晩夏の沖縄でした。

そんな、沖縄の雰囲気の端っこをかじっただけの私にもその時のことを思い出させるこの作品の文章は、さらに冒頭からのファンタジックな内容とも合わせて、ほのぼのとした佇まいで気楽に読み進めることが出来ました。

主人公の明青は、たまたま訪れた旅行先の神社で、戯れに「嫁に来い」と書いた絵馬を残します。ところが、その絵馬を見たという一人の「幸」という女性から「結婚してください。」との手紙が届くのです。幸が現れるまでの何かと心待ちにしている主人公明青の振舞いがほのぼのとしていて、とてものこと小説家デビュー作品などという印象は無く、本来、ラブストーリーは得意ではない私ですが、なかなかに惹きつけられるものがありました。

沖縄の、それも家から少し行けばそこには青い空と海、そして白い砂浜があるという絵にかいたような沖縄を舞台に、そのパラダイスを開発という名のもとに売らなければならない人たちを絡めて物語は進み、一方主人公の明青はミステリアスな美女に振りまわされます。

明青の家の裏に一人住む、島唯一人のユタであるおばあと共に、明青は幸との暮らしを続けていくのですが、この暮らしを維持する努力すら積極的にはしようとしない明青の態度はあいまいです。読んでいて、明青のあまりのあいまいさに、ファンタジーの側面がさらに膨らんできました。

また、「幸」というミステリアスな謎の美女の存在は、いかに小説だとしてもちょっと無理がありはしないかとも思っていたのですが、最終的には、あり得ない話だからこそファンタジーなのであり、心温まる物語として成立したのかもしれないと思うようになってしまいました。

人間、たまにはこうしたラブストーリーもいいものです。

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