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辻堂 魁 科野秘帖 風の市兵衛


風の市兵衛シリーズ第十二弾です。

市兵衛は、飲み仲間でもある柳井宗秀を討つための助っ人を探している女郎がいる、という話を矢籐太から聞かされる。その柳井宗秀は、かつて故郷の信濃下伊那で、共に藩政改革を語り合った黒井の依頼で保利家江戸屋敷を訪ね、黒井の受けた刀傷の手当てをしていた。

今回の市兵衛は、市兵衛とは大阪以来の付き合いである柳井宗秀の過去に踏み込むことになります。

市井の人の役に立ちたい、学んだ医術を多くの人々のために役立てたいと言う柳井宗秀ですが、かつて故郷の下伊奈の典医として保利家に仕えていた過去を持っていました。それが柳井宗秀の実家も絡んだ騒動に巻き込まれ、養子先の菅沼家からも離縁されることになったのです。

その後江戸に出て、市井の人たちのための町医者として皆から慕われていたところに市兵衛と再会したのでした。そうした宗秀の目の前に、宗秀を敵と狙う姉弟と共に宗秀の過去が再び現れたのです。

登場人物の過去を絡めて物語に仕上げるというのは特別なことでも何でもないのですが、この作家の手にかかると丁寧でありながらも冗長にならない描写で、本編である市兵衛の物語とはまた別のサブストーリーが出来上がっています。

これはこれでまた一遍の物語になりそうなのですが、そうしたリアリティーを持ったサブストーリーを絡めることで本編が更に奥行きを持った物語として仕上がっていきます。

物語によって出来不出来はあるものの、それでもなおシリーズとしての魅力は更に深まっていくこの物語です。続編がもう手元にありますので、早速読みたいと思います。

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