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辻堂 魁 夕影 風の市兵衛

風の市兵衛シリーズ第十三弾です。

市兵衛の兄を通してのとある旗本の依頼を受け、市兵衛は、下総葛飾にある寺で普化僧となっている依頼者の息子の消息をたずねて行くことになった。ついでに、返弥陀ノ助からは、道中にある葛西の吉三郎親分のもとにいるだろう、かつての敵「青」の様子をも見てきて欲しいという頼みを受けるのだった。

今回の物語は、痛快物語の王道も王道、ど真ん中をいく物語でした。

片方は昔ながらの任侠道を行く一家であり、もう片方は役人とつるんで横車を押してくる一家。そうしたやくざ者の間で起きている縄張り争いに巻き込まれた主人公が、土地の者にも慕われている一家の手助けをする物語です。

その任侠道に沿った生き方をしている一家の中心が美人で名高い三姉妹だというのですから、高倉健の任侠映画そのもののようでもあり、それ以前の次郎長などの博徒の物語のようでもあります。

勿論、基本がそうだというだけで細かな流れは異なるのですが、あまりにも王道の痛快小説でありましたので、物語中ほどまではシリーズの中では少し毛色の異なった、任侠ものの流れに入るのか、くらいに思っていました。

しかし、後半に入るとさすがは辻堂魁という作者の物語です。王道の痛快小説ではありながらも、シリーズ第一巻から登場している「青」という娘を絡ませ、物語にふくらみを持たせてあります。この「青」のこれからの行く末もまた、このシリーズに奥行きを持たせてくれそうな、期待のできる成り行きです。

そして、本来の仕事である普化僧となっている依頼者の息子の捜索とも絡み、物語はクライマックスヘとなだれ込んでいきます。若干、話のまとまりがない気がしないでもないのですが、シリーズに惚れた弱みでしょうか、それほど気にもならず、早速次を読みたいと思っている私でした。

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