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逢坂 剛 幻の翼 (百舌シリーズ)


『百舌の叫ぶ夜』を実質上の第一作とする『百舌シリーズ』の第二作目です。シリーズ第一作目との位置づけである『裏切りの日日』は、主人公が公安刑事で津城警視が登場するという点が共通するだけなので、別シリーズと考えたがいいでしょう。

稜徳会事件から一年三カ月が経ち、倉木は警視となり、明星美希は公安部の外事課へと配置替えになっていたが、何故か捜査一課の大杉良太警部補は、警部補のまま新宿大久保署の防犯課保安一係長へと配転されていた。倉木は稜徳会事件の真相を自身の口述で明星にタイプさせ、大杉に頼んでマスコミに流そうとするが上手くいかない。そんな中、北朝鮮の工作船でシンガイという名の男が日本に潜入したとの情報が入る。そして、倉木は稜徳会の関係者という男に措置入院の名目で拉致されてしまうのだった。

驚いたことに、前作『百舌の叫ぶ夜』を読んでから既に一年半以上もの間が空いてしまっていました。もう内容もうろ覚えなのですが、本作を読んでいるうちに次第に思い出していました。

今回は倉木というよりは大杉の活躍が目立ちます。というよりも倉木はほとんど活躍せず、そのために明星が調べ、大杉が行動するという役割分担でしょうか。勿論、きちんと割り振られているわけではなく、それぞれの動きを大きく分ければ、という話ですが。

そして、倉木と明星との接近が急激です。更にはベッドシーンまで用意されていたのにはおどろきました。とは言っても通常のそれではありません。

前作でもそうだったのですが、本書では更にテレビドラマとの差異が明確になっています。まるで別作品と言ってもよさそうに異なります。本シリーズはそれぞれの巻がそれなりに独立した話としても読めそうな構造ですが、テレビドラマ版はそうではなく、全編が一つの物語でした。

また、倉木と明星との関係もテレビドラマ版では異なっていました。一番違うのは敵役です。本書で言うと稜徳会及びその背景にいる森原法務大臣が敵役ということになるのでしょう。また、稜徳会病院の看護士が具体的な暴力装置として配置されています。彼らと倉木や大杉、明星との戦いという構図です。

でも何といっても、クライマックスで示される謎ときが圧巻です。誰をも信じることができない騙し合いの連続です。この場面で美希が感じた「すべての人間がすべての人間を騙そうとしている。ここにいる人間の大半が嘘つきだった。」という思いが全てを表しているようです。

読み終えた途端に続きを読みたくなりました。倉木は、明星は、そして大杉や津城はどうなるのか、早く知りたい気持ちでいっぱいです。

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