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三上 延 ビブリア古書堂の事件手帖 5 ~栞子さんと繋がりの時~


「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの第五作目です。

プロローグ リチャード・ブローティガン『愛のゆくえ』(新潮文庫)
第一話  『彷書月刊』(弘隆社・彷徨舎)
断章Ⅰ 小山清『落穂拾い・聖アンデルセン』(新潮文庫)
第二話 手塚治虫『ブラック・ジャック』(秋田書店)
断章Ⅱ 小沼丹『黒いハンカチ』(創元推理文庫)
第三話 寺山修司『われに五月を』(作品社)
断章Ⅲ 木津豊太郎『詩集 普通の鶏』(書肆季節社)
エピローグ リチャード・ブローティガン『愛のゆくえ』(新潮文庫)

本書はこれまでの各巻の構成とは若干異なり、各章建ての間に「断章」を設けてあります。

「断章Ⅰ」の小山清『落穂拾い・聖アンデルセン』とは第一巻で出てきた作品でした。

第一話は『彷書月刊』の逸話を通して見たとある夫婦の物語でしたが、一応の解決を見ました。しかし、真の解決は別にあり、それをここ「断章Ⅰ」で、おなじみの登場人物であるセドリの志田さん目線で示してあります。

第二話では、私もよく知っている手塚治虫の『ブラック・ジャック』がテーマですが、手塚治虫らしい逸話の数々に、やはり引き込まれてしまいました。普通に読んでいた漫画の背景にこんな物語が隠されていたとは驚きです。

そうした逸話がもとになっての第二話ですが、それが家族の物語として組み立てられていることにまた驚かされました。若干、前に出てきた話と似ているという印象もありましたが、そうした点よりも、読み心地の良い物語との印象が強く、面白く読むことができました。

そして「断章Ⅱ」は、今度は滝野蓮杖の妹のリュウによる語りで、栞子さんと母親千恵子との関係性がまた一つ進みます。

第三章の寺山修司も私たちの世代ではよく知られた人物であり、若者に大きな影響を与えた人物です。私はこの人の本は読んだことはなく、演劇も知りません。しかし、名前だけはよく知っています。問題となっている『われに五月を』も勿論読んではいません。

この第三章では、かつて栞子さんに多大な迷惑をかけたという門野澄夫という人物が登場し、、再び栞子さんをトラブルに巻き込みます。とはいえ、若干の感傷が入っている心地はあるのですが、読み終えて不快感も無く、それなりに楽しめる物語でした。

何よりも、千恵子と栞子さんとの関係性がより明確になり、栞子さんと五浦大輔との間の関係もはっきりとしてきます。また、栞子さんに傷を負わせた張本人である田中敏雄が再び登場し、続編を読まなければならない、実に気になる終わり方をしています。作者の思い通りになっている私がいました。

そして、エピローグ。ここにも驚きの仕掛けがありました。プロローグと併せて読者をトリックの罠にきちんと陥れてくれています。実を言えば、エピローグを読んで、変な終わり方だとの印象しかもたなかった私ですが、読後にネットで見ていて初めてここでの仕掛けに気付いた次第です。

私が如何に表面的にしか小説を読んでいないか、と思い知らされた仕掛けでもありました。

ともあれ、このシリーズも後二巻を残すだけとなりました。思いのほかに入りこんでしまった私ですが、書物のトリビアもあり、読みやすい文体も相まってなかなかに掘り出しものではありました。

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