FC2ブログ

佐伯 泰英 始末: 吉原裏同心(二十四)


吉原裏同心シリーズの第二十四弾です。

地廻りと呼ばれ、吉原の妓楼に上がらず素見をする一人の男の骸が切見世で見つかった。探索を始めた吉原裏同心・神守幹次郎は、下手人を川越に追う。一方、番方に女の子が生まれて沸く会所だが、突如現われた「倅」に悩む会所の七代目頭取四郎兵衛。「秘密」を打ちあけられた幹次郎は自ら動くが―。テレビドラマ原作となった人気シリーズ、待望の第二十四弾!(「BOOK」データベースより)

吉原の見世には上がらず、冷やかして回ることを楽しみとする輩を地廻りというそうです。その地廻りのひとりである葉三郎という瓦職人が、吉原でも下級とされる羅生門河岸の切り見世の遊女おこうの部屋でで首をつった状態で見つかります。しかし、葉三郎は吝嗇で知られており、店に挙がること自体が不自然でした。

幹次郎らの調べにより、行方の知れない遊女おこうの足抜けの様相が強まり、幹次郎はおこうの郷里である川越へ御足を延ばすことになります。

今回は、川越への水運の模様のについてのトリビア的な興味がありました。特に「飛切船」と呼ばれる超特急の高級魚用荷運船の川を遡る様子は興味をそそられます。

また、そうした土地柄の情景描写もいいのですが、やはり捕物帳としてみると、川越での探索、及びその結果であるおこうらの消息が気になります。そして本書では更に、子供が生まれるため幹次郎とは同行しない番方仙右衛門の様子、それに吉原会所七代目頭取の四郎兵衛の娘である玉藻につきまとう弟と称する男の影も明確になったりと、結構盛りだくさんです。

吉原という特殊な世界を舞台にしたこのシリーズは、吉原の本当の顔、金と欲とがうごめく裏の顔は見せていません。女たちは籠の鳥として描かれてはいても、それ以上の現実的な陰湿さ、悲惨さ、亡八たちの非人間性などは隠されています。

痛快時代小説である以上はそのことを取り立てて言うほど野暮でも無いつもりですが、やはりこれだけ長いシリーズになると若干のマンネリ感を感じるのはやむを得ないところです。

というタイミングでもあったのでしょうか、本シリーズもあと一作で一応の目途がつくそうです。このシリーズも新しい風を吹き込んでの出直しとなり、新しい展開としての再出発になるそうです。早く続編を読みたいものです。

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

siro

Author:siro
このブログの本棟として本の紹介のサイトを開いています。
(こちらです⇒読んだ屋
本ブログを別棟として位置付けて、読んだ本を記録していこうと思い立ちました。ここでの文章を母屋であるそのサイトに転記していくつもりです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR