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葉室 麟 蜩の記

蜩ノ記蜩ノ記
(2011/10/26)
葉室 麟

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この作品も十分な読み応えを感じる作品でした。

主人公である戸田秋谷の達観とも言うべき心根や、その息子郁太郎の武士の子としての心、そして本作品の語り手ともいうべき立場の檀野庄三郎の、秋谷や秋谷の娘薫への想い等々、登場人物それぞれの調和が読んでいて心地良く感じられました。

全体的にも、藩の過去の秘密に迫る家譜をめぐる謎ときの様相もあり、物語として読み手の興味をかきたてるもので、物語世界に没頭して読み進めることが出来ました。

更には例えば田舎の情景描写にしても読み手の心をを穏やかにするものですし、秋谷の家を「家の中に清々しい気が満ちている・・・」という言葉で表わし、秋谷やその家族がどのような人柄あるのかまでこの一言で表現しているなど、読み進め易い文章でもありました。

特に秋谷の「若かったころの自分をいとおしむ思い・・・」という台詞には心を打た、このような表現もあるのかと、ただただ感じ入るばかりでした。

第146回直木賞受賞作品です。

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